「いただきます!」
「「「いただきます!」」」
桃乃の声に合わせて、俺たちも声を合わせて言った。
ふたりではいつもスカスカだったテーブルが、今日はなんだかキツく感じる。
実家にいる時のような気分だ。
霜降くんと壮佑くんもいい食べっぷりで、作った甲斐があるなと思った。
「桃乃のママ、これすっごく美味しいよ!」
「そっか、よかった!」
壮佑くん、やっぱりめちゃくちゃかわいい…!
桃乃とどこか似てるから、そう感じるのかもしれない。
そうしてどんどん料理がなくなり食べ終わると、桃乃は壮佑くんと上の階で遊んでくると言った。
2階にはたくさん本が置いてあったりして、桃乃がいつも遊んでいる場所があるから大丈夫だろう。
ふたりが2階に行った後、俺は食器を片付けて洗い物を始める。
霜降くんも手伝ってくれた。
「ねえ、とあさん」
「ん?」
洗い物をしている途中、霜降くんに声をかけられた。
「今日はありがと。実は家には帰りづらくてさ。ここでは力を抜いて楽しめた。壮佑も楽しそうだし。本当にありがとう」
優しく笑う霜降くんに、俺は笑みをこぼした。
壮佑くんのことが好きなんだなぁって思ったから。
その時、ふと思い出したことを聞く。
「そういえば壮佑くんの苗字と霜降くんの苗字は違うけど、どうして?」
そう聞くと、霜降くんはピタッと手を止めた。
まずい、聞いちゃいけないこと聞いたかな。
そう思ったけど、霜降くんは案外にも普通に答えてくれた。
「俺らの両親は離婚した。原因は全部俺にある。親父が俺の病気を認められなかったんだ。アルファのくせに役立たずで使えもしないって」
俺もその言葉にはさすがに手を止めた。
その苦しみは、痛いほどにもわかってしまうから。
「で、母さんが親父と対立したんだ。そんなことで凛を否定しないでって言ってくれたんだよ。優しいだろ?」
そう言って霜降くんは少しだけ微笑んだ。
でもすぐに表情を変えて——。
「まあ、そのせいで母さんは築城家を追い出された。俺と一緒にな。しかもあいつは、その後すぐにオメガの番の女と結婚しやがった…!!」
霜降くんが声を荒げた。
彼のお父さんは最初から邪魔だったのだろう、彼の母親が。
オメガは基本的に、相手の第二性を持つ子供を産む。
だからこそアルファの女だろうが、オメガの女だろうがさほど変わらないのだろう。
やはりアルファというのはとんだクソ野郎だ。
「壮佑は跡継ぎなんだ。俺は病気持ちのせいで跡継ぎを外されてさ。俺は今の生活は裕福じゃないにしても、いい者だと思ってる。だけど、壮佑は違う…。毎日いろんなことを叩き込まれて、跡継ぎとして育てられる。それがどんだけ辛いものかなんて俺もよく知ってる」
霜降くんは表情を歪めた。
わかる、わかるよ。
跡継ぎとして期待される反面、普通とは違うことを幼くして悟る辛さ。
自分にそれ以外の価値がないと教え込まれることの辛さ。
その辛さを大切な弟が、あんなに小さな男の子が背負っているのだ。
苦しいに決まっているだろう。
「だから、本当にありがと。壮佑は家に帰るのが辛いって前々から言ってたし、少しでもこうやって楽しく過ごせる時間が増えてよかったなって。なんか、巻き込んでごめん」
俺は泡のついた手を洗って、霜降くんの手を握った。
霜降くんの体が、一瞬ビクッと震える。
「ううん、大丈夫だよ。それと、いつでも俺のこと頼ってね。君の気持ち、よくわかるから。助けになってあげたいんだ」
俺は優しく笑いかけた。
すると、霜降くんは少しだけ目を見開いて言った。
「どういうこと?」
「…知りたい?」
俺の過去を、霜降くんになら言える気がした。
「「「いただきます!」」」
桃乃の声に合わせて、俺たちも声を合わせて言った。
ふたりではいつもスカスカだったテーブルが、今日はなんだかキツく感じる。
実家にいる時のような気分だ。
霜降くんと壮佑くんもいい食べっぷりで、作った甲斐があるなと思った。
「桃乃のママ、これすっごく美味しいよ!」
「そっか、よかった!」
壮佑くん、やっぱりめちゃくちゃかわいい…!
桃乃とどこか似てるから、そう感じるのかもしれない。
そうしてどんどん料理がなくなり食べ終わると、桃乃は壮佑くんと上の階で遊んでくると言った。
2階にはたくさん本が置いてあったりして、桃乃がいつも遊んでいる場所があるから大丈夫だろう。
ふたりが2階に行った後、俺は食器を片付けて洗い物を始める。
霜降くんも手伝ってくれた。
「ねえ、とあさん」
「ん?」
洗い物をしている途中、霜降くんに声をかけられた。
「今日はありがと。実は家には帰りづらくてさ。ここでは力を抜いて楽しめた。壮佑も楽しそうだし。本当にありがとう」
優しく笑う霜降くんに、俺は笑みをこぼした。
壮佑くんのことが好きなんだなぁって思ったから。
その時、ふと思い出したことを聞く。
「そういえば壮佑くんの苗字と霜降くんの苗字は違うけど、どうして?」
そう聞くと、霜降くんはピタッと手を止めた。
まずい、聞いちゃいけないこと聞いたかな。
そう思ったけど、霜降くんは案外にも普通に答えてくれた。
「俺らの両親は離婚した。原因は全部俺にある。親父が俺の病気を認められなかったんだ。アルファのくせに役立たずで使えもしないって」
俺もその言葉にはさすがに手を止めた。
その苦しみは、痛いほどにもわかってしまうから。
「で、母さんが親父と対立したんだ。そんなことで凛を否定しないでって言ってくれたんだよ。優しいだろ?」
そう言って霜降くんは少しだけ微笑んだ。
でもすぐに表情を変えて——。
「まあ、そのせいで母さんは築城家を追い出された。俺と一緒にな。しかもあいつは、その後すぐにオメガの番の女と結婚しやがった…!!」
霜降くんが声を荒げた。
彼のお父さんは最初から邪魔だったのだろう、彼の母親が。
オメガは基本的に、相手の第二性を持つ子供を産む。
だからこそアルファの女だろうが、オメガの女だろうがさほど変わらないのだろう。
やはりアルファというのはとんだクソ野郎だ。
「壮佑は跡継ぎなんだ。俺は病気持ちのせいで跡継ぎを外されてさ。俺は今の生活は裕福じゃないにしても、いい者だと思ってる。だけど、壮佑は違う…。毎日いろんなことを叩き込まれて、跡継ぎとして育てられる。それがどんだけ辛いものかなんて俺もよく知ってる」
霜降くんは表情を歪めた。
わかる、わかるよ。
跡継ぎとして期待される反面、普通とは違うことを幼くして悟る辛さ。
自分にそれ以外の価値がないと教え込まれることの辛さ。
その辛さを大切な弟が、あんなに小さな男の子が背負っているのだ。
苦しいに決まっているだろう。
「だから、本当にありがと。壮佑は家に帰るのが辛いって前々から言ってたし、少しでもこうやって楽しく過ごせる時間が増えてよかったなって。なんか、巻き込んでごめん」
俺は泡のついた手を洗って、霜降くんの手を握った。
霜降くんの体が、一瞬ビクッと震える。
「ううん、大丈夫だよ。それと、いつでも俺のこと頼ってね。君の気持ち、よくわかるから。助けになってあげたいんだ」
俺は優しく笑いかけた。
すると、霜降くんは少しだけ目を見開いて言った。
「どういうこと?」
「…知りたい?」
俺の過去を、霜降くんになら言える気がした。


