そばにいたのはキミだった



3時間目の授業終了チャイムが鳴った。あれから何とか耐えて授業を受けていたが、とうとう限界が来てしまったようだ。

「慧人、保健室行ってくる…。悪いけど先生来たら言っといてくれない?」
「大丈夫かよ、ついてこうか?」
「ううん、歩けるし平気。ありがとう」

少し体がポカポカするし頭が重い。でも風邪っぽい症状は他にないし知恵熱かもしれない。保健室のベットで休ませてもらって、戻れたら授業に戻ろう。

保健室は正直…宵衣くんたちのことを思い出してしまうから気が乗らないけど、体調不良だからそんなこと言ってられないしベッドはそこにしかないから、仕方ない。

また人の少ない校舎に来て、保健室へ続く廊下をトボトボと歩いた。ここで2人を見つけた時は衝撃だったな…とか色々考えると熱のせいでまた目尻に涙が溜まってしまう。

ぐしぐしと目元を擦って、やっと保健室まで到着した。扉にはまた『先生不在』の札がかかっている。

「いつ先生いるんだよ…。熱だし勝手に寝てても大丈夫か」

そして扉に手をかけた時だった。

「…えっ、本当に?バレちゃったの?」

ドクンッ。

扉の向こうから女の子の声が聞こえてきた。

「なんで?順調そうだったのに…」

嫌な予感がして、ドクドクと心臓が音を立てる。初めて鮮明に聞く声なのに、なぜか誰の話し声か想像できてしまった。

まさか、いやそんな…。でも絶対誰かと喋っている。

その、まさかの嫌な予感は当たってしまった。

「…園原と保健室入るとこ見られた」

やっぱり、もう1人の声は聞き慣れたあの声だ。
心臓の鼓動と一緒に、一気に熱が上がる感覚がした。

「もー…何してんの。それで揉めたって…これからどうすんの?宵衣」

宵衣くんだ。宵衣くんと園原さんがこの中にいる。

そして、その内容からして俺のことを話しているようだとすぐ気付いた。

「…っ!」

俺は扉に手をかけたまま、口を抑えて固まってしまった。突撃する度胸も、今2人同時に顔を合わせる決心もついていない。なんでこの2人はよく保健室にいるんだ。

どうしよう、今は入らない方がいい気がする…。しんどいけど、一旦教室戻るしか…。

そうは思ったが、足が中々動かない。それに、2人の会話なんて聞きたくないのに、どうしてか気になってしまう。

だけど、そんな俺の耳に飛び込んできたのは、まるで理解し難い内容だった。

「せっかく私が名前貸して協力してあげてるのに…このままだと宵衣、江崎くんに嫌われて終わっちゃうよ?」




え?

今、名前を貸した…って言った?

え?

どういうこと?