「はぁぁ…、偶然だよな、きっと…俺はおかしくない」
「お前さっきから何ブツブツ言ってんの?」
教室に戻ってから、ずっと自分を言い聞かせるかのように頭の中でそう繰り返していた。机に突っ伏していると、横から慧人が頬杖つきながら呆れ顔で問いかけてきた。
「声に出てた?」
「めっちゃ出てた」
「うー…。なんだか、もうよく分かんねぇ…」
「何が?交換日記のことか?」
「それもあるんだけど…」
もしかして、園原さんも俺みたいに宵衣くんと一緒に相談しながら日記書いてるのかな?仲が良いなら有り得る。それで言い回しが同じだったりして…。
俺と一緒に書いてる時みたい…に?
まただ、想像したらなんか胸がモヤモヤしてくる。
どっちにモヤモヤしてるか分からないし、分からないことにもイライラしてくる。普通は園原さんと親しくしてる宵衣くに対してだろと思うのに…。
だって、宵衣くんが俺にかけてくれる言葉とかしてくれることに対して、今まで感じたことがない気持ちになるから…
胸がきゅぅってする。
こんなこと話したら気持ち悪がられるから絶対言えないけど…それくらい頭が宵衣くんに支配されてる気がする。
…あの時目にした、茶髪ロングの園原さんじゃなくて?
なんで?
「てか日記よく続いてんな、ほぼ毎日書いてんだろ?もうすぐ1ヶ月経つ?」
「あー…確かに、何気にそれくらいだね」
「で、結局付き合うんだろ?」
「え…」
「え、じゃねーよ。そもそも付き合う前の準備として交換日記してたんだろ?もう十分なんじゃね?そろそろ直接話した方がいいと思うけど」
言われてみれば確かに…。
だいぶ色んなことお互い知れたし…、そろそろ直接コミュニケーションとった方がいいのかも。
それに、付き合う…。とうとう彼女ができるのか?
俺に?
「なに、なんか嬉しくなさそうじゃん」
「い、いや…そういう訳じゃないけど」
そういう訳、ある。
なんで、ついにこの時が来た…!ってウキウキしないんだろう。ラブレターをもらった時は、ついに俺にも春が来た!って喜んでたのに。
「そうだ、今日のページまだ見てない…」
複雑に思いながらも、今日の分の日記を開いた。他愛もない会話…のはずだったけど、今日はいつもと違う文章が書いてある。その言葉は俺に緊張感を持たせた。
“たくさん日記で話してくれたので、直接話す勇気が出ました。香夜くんさえよければ、そろそろ返事をもらえませんか?ホワイトデーの日に聞かせてほしいです”
どうやら、園原さんも同じことを思っていたらしい。それはそうだ。好きな人に告白したんだから、本当なら一刻も早く返事が欲しいに決まってる。
ホワイトデー…って、もう来週の金曜日だ。
“ホワイトデーの金曜日、放課後にE組の教室に来てほしいです。そこで香夜くんの返事を聞かせてください”
俺の返事…。
