放課後、いつものように宵衣くんから日記をもらった。おにぎりが美味しかったことを伝えると、照れ臭そうに前髪の奥で目を伏せて笑っていた。
そして今日は宵衣くんが今日は残れないらしく、俺は家に日記を持ち帰って書くことにした。ちょうど良いタイミングだ。
なんで俺を好きになってくれたんですか?なんて気恥しいことを聞いてしまったし、今回のはそれに対する返事が書いてあるだろうから。
「ふー…なんか緊張しちゃうな」
家に帰ってから部屋で机に向かって、ドキドキしながら今日のページをパラパラと開いていく。見るのが少し怖いけど、ひどいことは書いてないはず…そう思いながら意を決して捲っていった。
「…あ、」
しかし、そこには俺の想像以上の内容が記されていた。
“俺なんか、なんて言わないでください。私は香夜くんの素直な所や優しい所、傷付いてる人を放っておけない所、ご飯を美味しそうに食べる所、目尻が垂れた可愛い笑顔、たくさんの素敵なところを知ってます。少し自己肯定感が低くて断り切れないような一面もあるけど、どんな香夜くんも大事にしたいです。そんな香夜くんだから好きなんです”
「……っ」
そんなこと…初めて言われた。
自分でも自覚が無かった一面、自覚があった短所、全部まとめてどんな俺でも好きだって…?
なんだろう、この感覚。胸が苦しい…というか、胸がいっぱいというか。読んだ瞬間、鼓動がトクトク穏やかになっていったのが分かる。こんな風に思ってくれてたなんて、考えもしなかった。
でも目尻が垂れた可愛い笑顔とか、美味しそうに食べるところって…話したことないのに、なんでそんなに細かく書けたんだろう?どこかですれ違ったり、離れた場所から見てたってことかな?
多少の疑問は覚えたけど、俺の不安なんて吹き飛ぶくらいの返事だったことが衝撃的で…あまり深く考えることはできなかった。
それよりも、ただただ嬉しい。
誰かに好きになってもらったのは初めてで、今まで告白されたことにも実感が湧かなかったけど、このページを読んでから急に胸がぎゅっとなって。
こんなに好かれてるってことが、恥ずかしいような嬉しいような…くすぐったい気持ちになった。確実にじわじわと、自分の気持ちが動いていることが分かる。
「…うー、なんだこれ。こんなの、暑い、」
なのに、まただ。
なんでだ?なんで、園原さんの姿が思い浮かべられないんだろう…。
