翌朝、また昼休みに日記を渡していいかと宵衣くんに連絡すると【朝最寄り駅から一緒に登校しよう、その時にもらうから】と誘われた。
今まで知らなかったけど、使っている電車は違うが学校への最寄り駅は同じらしい。
最寄りの駅へ到着して電車を降りると、一気に冷気が頬を刺してくる。肩を縮こませながら改札外に出て待っていると、たくさんの人が出てくる中に宵衣くんの姿が見えた。
制服のブレザーの上に黒いダウンジャケットを着ているようだ。いつもと違う登校スタイルを初めて見た。
見慣れない姿だからか、少しドキッとしたような…
え??
……いや、ドキッはおかしくないか!?
恋愛経験無さすぎて、とうとう男子にまでドキドキするようになってしまったのか!?自分!?
「香夜くん、おはよ」
「あ…!おはよう」
「先に日記もらうね」
「う、うん!これお願いします…」
鞄から日記を出して宵衣くんに手渡す。その時、手が軽く触れたようで宵衣くんが「冷たっ」と呟いた。
「香夜くん手冷たいね。寒い?」
「ああ、ちょっと…。若干冷え性気味で…」
「俺、体温高いよ。ほら」
「うぃっ!?」
突然両手をぎゅっと握られて、素っ頓狂な声が出てしまった。男子高校生が手握り合ってるなんて、絵面がおかしいに決まってる。
なのに…
「……本当だ、温かい」
「でしょ?」
宵衣くんの大きな手は氷を溶かすような温かさだった。解きたくないと思ってしまうほど、ホッとする。思わず開いていた手をぎゅっと握り返すと、宵衣くんの手が一瞬跳ねた気がした。
はっ!何してんの!これでフリーズしてたら、変な絵面になっちゃうって!
我に返って慌てて手を離すと、頭の上から満足そうな笑い声が聞こえてきた。
「なに慌ててんの?まだ繋いでてよかったのに」
「は!?え、いや!全然大丈夫だし!ありがとう!温まった!」
「そう?じゃ、行こっか」
歩き出した宵衣くんの後ろに続いていく。急ぎ足で隣に並ぶと、ふわっとシャンプーのいい香りがした。朝風呂してきたんだろうか…。
ん?そんな事考えてたらなんか俺変態みたいじゃん!!
いやいやいや…。
「香夜くん朝ご飯食べた?」
「えっ!あ…今日は時間なかったから、家出る時にメロンパンかじってきた…」
「そうなの?ちゃんと食べないと力出ないよ」
こうやって肩を並べて歩いているのが不思議だ…。ついこの前までは全然接点なかったのに…。
しみじみ思いながら歩いていると、学校に近づくにつれ登校する生徒も多くなってきた。すると、離れた所から駆け足でこちらに向かってくるような足音が聞こえてきた。
振り返ると、満面の笑みをした男子がどんどんこっちに向かって走ってきている。
「よーい!おはよ!!」
「ぅわっ!」
いきなり宵衣くんに抱きついてきたのは、明らかに元気いっぱいなダッフルコートを着た茶髪男子生徒だった。同じくらい身長が高くて、両耳にはピアスをつけている。
「あっぶね…。いきなり飛びつくなよ柊奈瀬」
「ごめんごめん!後ろ姿見かけたからつい〜」
ど、どなた!?宵衣くんの友達か…?
「あれ?誰かと学校来るなんて珍しくね?君だーれ?」
「あ!えっと、2Aの江崎です…」
「A組か!あんま知り合いいねーなぁ。俺は宵衣と同じE組の小坂柊奈瀬〜!よろしこ」
柊奈瀬って名前なんだ…。背高くてちょっと見た目はチャラそうだけど、可愛い名前だ。
「あ、よろしくおねが……」
「香夜くん、よろしくしなくていいよ」
「は!?なにそれひどくね!?俺だってよろしくしてーよ!」
「うるさい。お前は絡むな」
なんだ、このキラキラした面子…。やっぱりイケメンにはイケメンの友達ができるのか…。
というか…
