その日は、それ以降園原さんの話題は出なかった。やっぱり他の子よりも仲良いの?とか、普段よく一緒にいるの?とか聞きたいことはあったけど。宵衣くんが、なんとなくそのことに触れてほしくなさそうに見えて、聞けなかった。
俺も俺で、聞きたいけど聞けないというのが本音だった。聞いてどうするんだろうとか、その先の返事を想像したらまたモヤモヤしてしまったから。
そして、珍しく日記も書き終えることができなくて持って帰ってきていた。今日は宵衣くんがバイトの日で解散する時間も早かったのもあるけど、宵衣くんの前でなかなかペンが進まなかった。
「うーん…。俺はどうしたんだろう」
園原さんと交換日記をしていて嬉しいはずなのに。どっちに対してモヤモヤしているのかイマイチ分からない。
こんな感情今まで感じたことなかったから、自分の中で答えも出なくてなんだか苦しい。
机に向かって日記を読みながら、ボーッと考えてしまう。これは、園原さんを好きなってきている証拠なんだろうか?
恋愛経験0だったのに、突然の供給過多で頭が追いつかない。
「でも…文章の感じも、やっぱりいいんだよな…」
読み返してしみじみ思う。言葉遣いや、字体や雰囲気が好きだなって。そうは思うのに、園原さんへの気持ちと結びつくかどうかと言われると即答できない。
「はぁぁ…なんなんだよぉ」
そこから日記を書き終えるのにだいぶ時間がかかった。そして気付いたら、あれこれ考えていることを書いてしまっていた。
“園原さんとの日記のやりとりは楽しいし、あなたの書いてくれる文が好きです。だけど、自分の気持ちがまだ分かりません。園原さんはなんで俺なんかを好きになってくれたんですか?”
少し気恥しい文章になってしまったけど、手が勝手に書き進めていた。こんなバカ正直に書いてしまったら、面倒くさく思われてしまうかな…なんて不安もあったけど。
どんな返事が来るのか気になっている自分もいたから、そのまま日記を閉じてベッドに潜り込んだ。
