そばにいたのはキミだった



日記を書き終えた後、2人で学校を出てゲーセンへと向かった。学校から遠くない距離にあって、うちの生徒がよく行く場所だ。そんなに大きくはないけど、ある程度遊べるものは揃っている。

「あ!これだ!!」

入るやいなや、お目当てのガチャガチャを見つけて思わず子供みたいに声を上げてしまった。

「そうそう、結構あるでしょ?」
「本当だ…よーし、どれからやろうかな〜」
「好きなキャラどれ?」
「…えっと、これこれ!」

しゃがみこんだ俺のすぐ隣に来て宵衣くんもしゃがんだ。同じものを見ているせいで、体がピッタリくっついている。

いつもより顔も近くに感じて、触れている肩の感触もダイレクトに伝わってきて…妙に緊張してしまう。

「よ、よーし!やってみよう!400円…」

それを誤魔化すようにカバンの中から財布を取り出し、機械に小銭を入れた。ここでも隣から宵衣くんの視線が刺さり、なんだかいたたまれない。

レバーをクルクル回すと、ガタン!と音を立ててカプセルが飛び出した。

「出た!推しキャラ来るかな〜来い!ぐっ…」

なんでガチャガチャのカプセルってこんなに固いんだ!!

「開けづらい?貸して」
「えっあ、」
「はい、開いたよ」

俺の手からカプセルを取った宵衣くんは、いとも簡単にカパッと開けてみせた。その力の差を目の当たりにして自分に情けなさを感じてしまう。

でも確かに宵衣くんの手ってゴツゴツしてて大きいしな…。この前倒れそうになった時、支えてくれた時も俺を片手だけで掴んでたし…。

「あ、ありがとう」

あのことを思い出しても、情けなさと気恥しさを同時に感じて変な汗をかいてしまいそうだ。

「あーーー!」
「ん?好きなの来た?」
「……ち、違った!このキャラもかっこよくて好きだけど!」
「お目当てじゃなかったね」

推しキャラが出なくてガックリしている俺を見て、宵衣くんはクスクス笑った。

いつも俺といる時に見せるその困ったような笑い方が、男の俺でも少しトゥンクしてしまう。

いやいや!!トゥンクっておかしいだろ!!
イケメンだから憧れるっていうか!それだけだ!


「よし!もう一回やる!!」


でもこれは確かに…女子にモテるわけだ。


「……わー!!!被った!」

またガチャガチャを回したら、まさかのキャラ被り。さっきと同じものが出てしまった。

「くそぅ…もう一回!!」
「あらら…」
「わー!!違うキャラだけどまたダメだった!もう一回!」
「香夜くん?」
「ぎゃーー!まさかの2セット!!」
「……っくくくく」

しまった!つい夢中というかムキになって回していた!

しかもまさかの被りによって推しキャラは出ないまま、2つのキャラが2人ずつになった。

「ご、ごめん…無我夢中で…」
「いや、大丈夫だよ。それにしても、そんな被り方あるんだね…ふっ、あはは!やっぱ香夜くん面白すぎ」