そばにいたのはキミだった



その日書いた日記を預け、宵衣くんと別れた。昨日もだけど、宵衣くんはもう少し後で帰ると言うので、俺が先に空き教室を出た。

「なんで残ってるんだろ…。まあいいか」

それにしても、男子相手にあれだけ照れてしまったのも可愛いと言われたのも初めてで思い出すとドキドキしてしまう。

俺は単純な男なんだろうか…。恋愛経験なさすぎて男にまでドキドキしてしまうなんて…!

「…園原さんと宵衣くんって、仲良いのかな」

なんでだろう。帰り道、無性にそんなことを考えてしまった。


次の日。

今日も昼休みに日記を渡してもらう約束をしている。いつもドキドキしてるけど、毎日の楽しみが増えた。にまにましながら席に着くと、隣にいた慧人が怪訝な顔を見せてきた。、

「気持ち悪いな」
「うるせー!ニコニコしたっていいだろ!」
「ニヤニヤだろ。あれ上手くいってんの?宵衣くんに渡してもらってる交換日記」
「もちろん!」
「へぇ、あの宵衣くんと香夜が絡むようになるなんてねぇ。喋った感じどんな風なの?」

どんな風か…。

「えっと、なんか優しくて…すごいガン見してきて…。弁当のおかず分けてくれて優しい」
「優しいばっかじゃん。なに、もうそんな仲良くなったの?」
「仲良くなってるのかな…まあちょっとずつなってるかな!昨日だって急にかわ…」
「かわ??」
「な、なんでもない!!」

危なかった。可愛いって言われたことを言おうとしてしまった。それに肩に寄りかかって寝てしまったことも…昨日の光景が全部フラッシュバックしてまた赤面してしまいそうだ。

「まあ、とにかく思ったより優しいよ!」
「へぇ〜なんか意外だな。前に見かけた時、女子にはちょっと対応がダルそうっていうか、冷たい感じしたから」
「え、そうなのか…」

女子には冷たい…?モテるのに冷たいのか?

じゃあ、園原さんだけは手紙とか交換日記を頼まれていいくらい親しいってことかな。

「あ、噂をすればE組だ」
「え!?どこ!?」
「ほらベランダのとこ」

指さされた方を見ると慧人の言う通り、ぞろぞろとE組の生徒達が移動しているのが見えた。次の授業が体育だからか、みんな緑色のジャージを着ている。

もしかして、園原さんが通るかも…?

「いやでも、どの人か分かんない…!茶髪のロングヘアって言ってたよな…」

さり気なく目を凝らして通る生徒達を凝視していると、ワイワイ話しながら歩く生徒達の中に見覚えのある姿があった。

男子と談笑しながら歩いている宵衣くんだ。

ジャージ姿を初めて見たからか、制服姿とのギャップを感じる。一際背が高くて、くせ毛の長い髪の毛が揺れていてつい目が追ってしまう。

「あ、宵衣くんいるじゃん。やっぱジャージ着ててもかっこいいな」
「う、うん…それな」

茶髪のロングヘアの子は意外にたくさんいたけど、宵衣くんと一緒にいる女子はいなかった。

誰が園原さんかは分からなかったけど、宵衣くんと一緒に歩いていなかったことに少しホッとしてしまった。

なんで、ホッとしたんだろう…。
園原さんが宵衣くんと仲良いっていうのが、気になってるのかな…?