そばにいたのはキミだった




そして放課後。
また前回使った空き教室にやってきた。

そーっと中を覗くと、やはり既に宵衣くんは来ている。

椅子に座って携帯を触っているだけなのに、イケメンはなぜこうも絵になるのか。

すると気配に気が付いたのか、宵衣くんは突っ立ってる俺を見てニコッと微笑んだ。

「何してるの?早くおいでよ」
「あ、うん…!」

中へ入るとまた対面できるように椅子が置かれていた。そこに腰掛けて日記を机の上に置いて1番書きやすいポールペンを取り出す。今日、日記に書くことは事前にあれこれ考えていたがやはり上手くまとまらない。

「何書くか悩んでる?」

「あ、うん…好きな食べ物も好きな漫画もたくさんあるからどうやって書こうかと思って…。自分と趣味が合わなかったらつまんないって思われるかな?」

「素直に書いていいんじゃない?自分を偽って隠してたら恋愛なんてできないよ。相手も香夜くんのこと何でも知りたいと思ってるはずだから」

「そっか…そうだよね!」

「それに、つまんないなんて思わないよ。好きな人のことだったら」

「そ、そっか。好きな人…」


改めて口に出すとくすぐったいが、宵衣くんのアドバイスを聞いて俺はすぐペンを進めた。好きなアクションアニメやバトル漫画のこと、意外に恋愛漫画も結構読んでいること、好きな食べ物は魚、パスタ、オムライス…気付けばたくさん書き綴っていた。

日記を書いている間、宵衣くんは相変わらず目の前で頬杖付きながら俺をじーっと見ている。昨日は戸惑ったが、段々この視線にも慣れてきそうだ。

「…あのさ、園原さんにも聞いていいのかな?何が好きなのかって」
「うん。いいんじゃない?興味持ってくれたら嬉しいと思うよ」


興味を持たれたら嬉しい…。
昼休みに宵衣くんが言ってたこととリンクしてしまった。

あの時、やっと興味持ってくれたねと俺に言ってきたってことは…宵衣くんも嬉しかったのかな?


「あのさ、えーっと、その…」
「ん?」
「宵衣くんは…宵衣くんだったら、俺なんかに興味持たれたら嬉しい?とか思って…」

全部口に出した後に、ハッと我に返った。これでは、まるで「この俺に興味持ってもらえたら嬉しいか?」とでも言いたげな自意識過剰男になってないか!?


「大丈夫、なってないよ」
「え!?お、俺口に出して言ってた!?」
「…うん」
「わぁぁ!さっきのは本当にただ疑問に思ったからで!マジでそれだけの意味で…!」
「…っくくくっ、だ、大丈夫」
「え?」

顔を手で覆って俯いていた様子に不安を覚え全力で弁解したが、よく見たらお腹を抱えている。そして小刻みに震えてもいる。

「も、もしかしてすごく笑ってる?」
「いや、だって…めちゃくちゃ声に出してるのに気付いてなかったんでしょ?お、面白すぎて…」
「んなっ!!」

宵衣くんは顔を上げると、眉毛を困らせて無邪気な笑顔を浮かべていた。目尻には涙を少し浮かべているし、どうやら笑いのツボに入ったようだ。

子供みたいなその笑顔は普段とギャップを感じて、なぜかこっちが恥ずかしくなった。

「そ、そんな笑わないでよ…!」
「ははっ…、ごめんごめん。可愛いなって思っただけだよ」
「!?可愛くはないし!!」