そばにいたのはキミだった




「………ん、くん、香夜くん」

なんだろう、誰かが俺を呼んでる…。だけど瞼が重くて中々開けないよ…。

「香夜くん、起きて。もうすぐ昼休み終わるよ」
「……んー?っ!はっ!」

宵衣くんに肩をゆすられて、一気に意識が戻ってきた。なぜ体が斜めになっているかと思ったら、俺は頭を宵衣くんの肩に預けて眠っていたようだ。

「おはよ。ぐっすり寝てたね」
「わっ!!ご、ごめん、俺もたれちゃってた…!」
「大丈夫だよ。ぐらぐらしてたから俺がもたれさせた」

知り合ったばっかの同級生に肩ズンしてしまうとか…!友達にもしたことないから、なんか恥ずかしい…!

でも寝てたのは短い時間なはずなのに頭がスッキリしてる。

「あ、ありがとう…」
「昨日眠れなかった?」
「う、うん…。ラブレターの返事見られたかなとか色々考えてたら眠れなくて…」
「そっか…」

宵衣くんは立ち上がってさっさと歩き出してしまった。俺も慌てて立ち上がって後ろを着いて歩き出す。

「あ、遠足前の小学生かよ!って感じだよな。ラブレターくらいでドキドキして緊張して寝れないなんて…」
「そんなことない。分かるよ」
「え?」
「その気持ち、俺も分かる。好きな人のことになるとドキドキして眠れないのも」

え、それって…。

「宵衣くんもしかして好きな人いるの?あっ、それとも彼女?すごいモテてるって聞いたし!」

俺が興奮気味で問いかけると、宵衣くんはピタッと足を止めた。何も言わなくなってしまい、聞かれたくないことだったかな?と狼狽えているとこちらに振り返った。

癖ついた黒い髪の毛が風になびいて少し顔を隠してしまっていたけど、なぜか寂しげな笑顔を見せていることは分かった。

「好きな人にモテなきゃ意味ないよ」
「…え、」
「でも…やっと俺に興味持ってくれたね?」
「…っ!」

だけど、それを言った瞬間の笑顔はもう寂しくなさそうだったんだ。