もうすぐバレンタイン。
私、星先梨香《ほしざきりか》は帰り道にチョコマカロンの材料を買って帰ろうと考えながら下駄箱に向かっていた。
「梨香――――!」
振り返らなくても分かるこの声は親友の歩望。
私は歩望が飛びついてくるのを背中で受け止める。
「よくわかったね?」
「そりゃー分かるよ! だって梨香のことなんだから!」
自信満々にそう言いながら梨香は私の左側に移動する。
「今日は帰りにちょっとお買い物するけどいい?」
「もちろん! 今年も期待してるよ! 梨香の手作りマカロン!」
流石歩望。よくわかってるじゃん。
私達は靴を履き替えて、学校を出てお菓子の材料の品揃えが良いほうのスーパーへと向かった。
その道中。
「ねぇ、梨香。好きな人いる?」
「え? 別にいないけど? どしたん急に」
ほんとはいるけど、まだ歩望には言えないからなぁ。
まぁ、他の人にも言ったこと無いし居ないってことにしてるはずなんだけどなあ。
「だって、梨香モテるからさ」
「モテたこと無いが?」
彼氏居ない暦=年齢の人に何を言ってるんだ。
「いーや、梨香はモテるよ。私知ってるもん」
「ないない」
「いや、ある。でもさ、仲いい男子はいるでしょ?」
「ん、まぁよく話すくらいなら」
「じゃあ、かっこいいと思う人は?」
そう言われた私は思いつく男子の名前を数人名前をあげた。
「その人達、梨香のこと好きかもよ?」
「いやー無いでしょ。ほらついたよ」
まぁ、もしそれがほんとだったとして私には歩望にも言えない特別で大好きな人がいるから他になびくことは全く無いんだけどね。
「うん」
その日は、様子のおかしい歩望とそれぞれのお菓子の材料を買って家に帰った。
しかし、その日からずっと歩望の様子はどこかおかしかった。
そして、バレンタイン当日。
私は前日に大量生産したマカロンたちを持って学校に行った。
当然ながら学校は、バレンタインの話題でもちきり。
お昼休みになって、私も仲のいい友達に作ってきたマカロンを配って回る。いわゆる友チョコってやつだ。
友チョコって、配ったら配った分だけ貰えるからカバンの中身は全然減らなくて幸せなんだよね。
「さ、帰るか」
私がある程度配り終えて教室に帰ろうとしていたその時、突然声をかけられた。
「「梨香!」」
振り向くと、そこに居たのは幸生と亮太。二人とも割と仲のいい同級生だ。
まぁ、別にマカロンはあげてないが。
「どうしたの?」
少し緊張した様子で幸生が口を開く。
「今日の放課後、空いてる?」
「うん。まぁ歩望と帰るからそれまでなら」
「じゃあ、教室で待ってる」
今度は亮太が言って、二人とも去っていった。
あまり、これまでの人生で味わったことのない感じだった。ふと、歩望と材料を買いに行った時の会話が浮かんだ。
もしかして……?
いや、私に限ってそんなことは無いだろうとも思いつつ、午後の授業はずっとそのことが頭から離れなかった。
そして放課後。
私の眼の前には幸生と亮太が立っている。
「「好きです! 付き合ってください!」」
そう言って、二人同時に差し出されたのはそれぞれ手作りのマドレーヌだった。その形はところどころ歪んでいて、慣れないお菓子作りを頑張ってしたのが伝わってくる。
でも私は……。
「二人ともありがとう。でもごめんね。二人の気持ちには答えられない」
二人と目が合う。私の言葉を聞いた途端、表情が少し歪んだことが目に見えてわかった。
「好きな人がいるの?」
幸生からの質問だった。
「うん」
居ないって答えようかと思ったけど、なんだかそれは失礼な気がしてやめた。
「そっか。俺達には勝ち目、無かったな」
「だな」
「ありがと、ちゃんと幸せになるんだよ」
「ありがとう。歩望ちゃんのところに行ってあげて」
私は二人の言葉を背に教室を出て下駄箱に向かった。
下駄箱では、泣きそうな顔をした歩望が立っていた。
私は心配になって駆け寄った。
「歩望! どうしたの?!」
近くまで行くと突然抱きしめられた。
「彼氏できた……?」
「うんん、できてないよ」
「へっ……?」
歩望がガバッと顔をあげて目が合う。
目がうるうるしててもやっぱり歩望は可愛い。
「付き合わなかったの? 梨香、かっこいいって言ってたじゃん」
「まぁ、確かに顔は整ってると思うよ? でもそれとこれとは別じゃん」
「そうなの……?」
「うん。ほらちょっと離れて」
私はよいしょと歩望を立たせて、自分の鞄を漁る。
歩望に作った特別なマカロンを取り出して歩望に差し出す。
さぁ、私も勝負しなくちゃね。あの二人みたいに勇気出さなくちゃ!
「好きです。付き合ってください」
「梨香……大好き」
歩望の目から大粒の涙が溢れ出した。
でもね、大泣きしてても可愛いんだ。歩望は。
しばらくして……。
「梨香、ごめんね」
「ん?」
突然謝られても意味がわからない。
「私のこと、嫌いにならない?」
「うん。大好きだよ」
「あのね……」
そうして、ゆっくりと話しだした。
「だからごめん。今回こそ負けると思って、あの二人はイケメンだし梨香とも仲良くて……。それに真剣勝負って言ってて流石に止めれなくて、でも梨香を取られたくなくて……だけどやっぱ、私じゃ勝てないと思って普通じゃ居られなかった」
要するに? これまで私、実は結構モテてたけど、歩望によってそれが私に伝わらないようにされていたと。だけど段々悪いことしてるって気持ちが強くなって今回ついに何もできなかったと。
なるほど?
「全然、いいよ。元々さ? 勝ち目なんて歩望にしか無かったんだから」
「梨香……」
「だから、これからよろしくね」
「うん!」
歩望がカバンから何かを取り出して私の前に差し出す。
それはチョコドーナツだった。
「これ、私から梨香に」
「ありがとう!」
ドーナツでマカロン。大好きで特別な関係が始まった。
私、星先梨香《ほしざきりか》は帰り道にチョコマカロンの材料を買って帰ろうと考えながら下駄箱に向かっていた。
「梨香――――!」
振り返らなくても分かるこの声は親友の歩望。
私は歩望が飛びついてくるのを背中で受け止める。
「よくわかったね?」
「そりゃー分かるよ! だって梨香のことなんだから!」
自信満々にそう言いながら梨香は私の左側に移動する。
「今日は帰りにちょっとお買い物するけどいい?」
「もちろん! 今年も期待してるよ! 梨香の手作りマカロン!」
流石歩望。よくわかってるじゃん。
私達は靴を履き替えて、学校を出てお菓子の材料の品揃えが良いほうのスーパーへと向かった。
その道中。
「ねぇ、梨香。好きな人いる?」
「え? 別にいないけど? どしたん急に」
ほんとはいるけど、まだ歩望には言えないからなぁ。
まぁ、他の人にも言ったこと無いし居ないってことにしてるはずなんだけどなあ。
「だって、梨香モテるからさ」
「モテたこと無いが?」
彼氏居ない暦=年齢の人に何を言ってるんだ。
「いーや、梨香はモテるよ。私知ってるもん」
「ないない」
「いや、ある。でもさ、仲いい男子はいるでしょ?」
「ん、まぁよく話すくらいなら」
「じゃあ、かっこいいと思う人は?」
そう言われた私は思いつく男子の名前を数人名前をあげた。
「その人達、梨香のこと好きかもよ?」
「いやー無いでしょ。ほらついたよ」
まぁ、もしそれがほんとだったとして私には歩望にも言えない特別で大好きな人がいるから他になびくことは全く無いんだけどね。
「うん」
その日は、様子のおかしい歩望とそれぞれのお菓子の材料を買って家に帰った。
しかし、その日からずっと歩望の様子はどこかおかしかった。
そして、バレンタイン当日。
私は前日に大量生産したマカロンたちを持って学校に行った。
当然ながら学校は、バレンタインの話題でもちきり。
お昼休みになって、私も仲のいい友達に作ってきたマカロンを配って回る。いわゆる友チョコってやつだ。
友チョコって、配ったら配った分だけ貰えるからカバンの中身は全然減らなくて幸せなんだよね。
「さ、帰るか」
私がある程度配り終えて教室に帰ろうとしていたその時、突然声をかけられた。
「「梨香!」」
振り向くと、そこに居たのは幸生と亮太。二人とも割と仲のいい同級生だ。
まぁ、別にマカロンはあげてないが。
「どうしたの?」
少し緊張した様子で幸生が口を開く。
「今日の放課後、空いてる?」
「うん。まぁ歩望と帰るからそれまでなら」
「じゃあ、教室で待ってる」
今度は亮太が言って、二人とも去っていった。
あまり、これまでの人生で味わったことのない感じだった。ふと、歩望と材料を買いに行った時の会話が浮かんだ。
もしかして……?
いや、私に限ってそんなことは無いだろうとも思いつつ、午後の授業はずっとそのことが頭から離れなかった。
そして放課後。
私の眼の前には幸生と亮太が立っている。
「「好きです! 付き合ってください!」」
そう言って、二人同時に差し出されたのはそれぞれ手作りのマドレーヌだった。その形はところどころ歪んでいて、慣れないお菓子作りを頑張ってしたのが伝わってくる。
でも私は……。
「二人ともありがとう。でもごめんね。二人の気持ちには答えられない」
二人と目が合う。私の言葉を聞いた途端、表情が少し歪んだことが目に見えてわかった。
「好きな人がいるの?」
幸生からの質問だった。
「うん」
居ないって答えようかと思ったけど、なんだかそれは失礼な気がしてやめた。
「そっか。俺達には勝ち目、無かったな」
「だな」
「ありがと、ちゃんと幸せになるんだよ」
「ありがとう。歩望ちゃんのところに行ってあげて」
私は二人の言葉を背に教室を出て下駄箱に向かった。
下駄箱では、泣きそうな顔をした歩望が立っていた。
私は心配になって駆け寄った。
「歩望! どうしたの?!」
近くまで行くと突然抱きしめられた。
「彼氏できた……?」
「うんん、できてないよ」
「へっ……?」
歩望がガバッと顔をあげて目が合う。
目がうるうるしててもやっぱり歩望は可愛い。
「付き合わなかったの? 梨香、かっこいいって言ってたじゃん」
「まぁ、確かに顔は整ってると思うよ? でもそれとこれとは別じゃん」
「そうなの……?」
「うん。ほらちょっと離れて」
私はよいしょと歩望を立たせて、自分の鞄を漁る。
歩望に作った特別なマカロンを取り出して歩望に差し出す。
さぁ、私も勝負しなくちゃね。あの二人みたいに勇気出さなくちゃ!
「好きです。付き合ってください」
「梨香……大好き」
歩望の目から大粒の涙が溢れ出した。
でもね、大泣きしてても可愛いんだ。歩望は。
しばらくして……。
「梨香、ごめんね」
「ん?」
突然謝られても意味がわからない。
「私のこと、嫌いにならない?」
「うん。大好きだよ」
「あのね……」
そうして、ゆっくりと話しだした。
「だからごめん。今回こそ負けると思って、あの二人はイケメンだし梨香とも仲良くて……。それに真剣勝負って言ってて流石に止めれなくて、でも梨香を取られたくなくて……だけどやっぱ、私じゃ勝てないと思って普通じゃ居られなかった」
要するに? これまで私、実は結構モテてたけど、歩望によってそれが私に伝わらないようにされていたと。だけど段々悪いことしてるって気持ちが強くなって今回ついに何もできなかったと。
なるほど?
「全然、いいよ。元々さ? 勝ち目なんて歩望にしか無かったんだから」
「梨香……」
「だから、これからよろしくね」
「うん!」
歩望がカバンから何かを取り出して私の前に差し出す。
それはチョコドーナツだった。
「これ、私から梨香に」
「ありがとう!」
ドーナツでマカロン。大好きで特別な関係が始まった。
