宮成の手から放たれたボールが、綺麗な放物線を描き、リングに吸い込まれていく。
その瞬間、地響きのように黄色い声が体育館を震わせた。
あまりの声の大きさに、振り返ると、体育館を半分に分けたネットの向こう側で、女子たちが目を輝かせ宮成を見ている。
(練習でこれってことは、本番はもっとすごいぞ……。)
球技大会までの一週間。
体育の授業は全て、球技大会の練習になる。他クラスと合同授業だからか、いつもよりもギャラリーが多い。
ギャラリーが多いってことは、俺の失態も当然見られるわけで。
……って、誰も俺なんか見てないか。
「宮成くんってマジでかっこいいよねー」
「わかるー。私も三組がよかったな」
「宮成くんって、彼女いるのかな」
スコアボードの点数をめくっていると、背中越しの会話が聞こえてきた。
女子の会話ってなんであんなに声が大きいんだ。聞こうとしなくても自然と耳に入る。
そして、やっぱり宮成はモテるらしく、会話は宮成のことで持ちきりだ
まぁ身長も高いし。顔もいいし。運動神経は抜群だし。料理はうまいし。
……って、あいつは完璧かよ。
いや、あいつにも欠点くらいある。
ちょっと強引だし、何より俺に甘すぎる。
最近は、弁当だけじゃなくて、お菓子やジュースまで与えてくるようになった。俺を丸々に太らせて食う気なんじゃないか。そう疑ってしまうほど、ベタベタに甘やかす。
一体なにが目的なのか、それだけでも教えてもらいたい。
「でも、ちょっとクールすぎない?」
「そこがカッコいーんじゃん!」
「確かにね、でも彼女にも冷たそうじゃない?」
背中越しの女子の会話は、まだ続いていた。
彼女たちの想像の中の宮成に、俺は、そうかなと首を傾げる。
多分、あいつは恋人には、もうでろんでろんに優しいタイプだと思う。
だって、友達の俺にさえ、こんなに甘いのだ。
みんな、宮成のこと、全然わかってないな……。
俺の方が宮成を知っている。
そう思うと、ほんのわずかに優越感が滲んだ。
「やっぱ、宮成くんって、彼女にも冷たいの? どうなの? 翠」
女子の一人が、翠と呼ばれる女子に訊ねた。
「あー、どうだろ。でも、基本は執着タイプだから、付き合ったらめちゃくちゃ優しくなると思うよ」
自分の中の宮成と解像度が一緒の答えに、思わずスコアボードをめくる手が止まる。
一体どんな子だろう。
翠と呼ばれた女子が気になって、振り返って見ると、そこには、長い黒髪を一つにまとめた美人がいた。少し吊り目気味な彼女は、スラリと背が高く、腕組みをして、宮成の試合を見ていた。
あいつのこと、よく知っているのかな……。
そう思ったとき、翠とばっちり目が合ってしまった。
慌てて逸らそうすると、彼女はなぜか、俺に向かってにこりと微笑みかけた。
……怖い。女子、怖すぎる。あの微笑みってどういう意味だ?
こっち見てんじゃねーよ、とか?
あぁ、すみません。勝手に見てしまって。
心の中で必死に謝罪をすると、またも体育館を震わすほどの歓声が上がった。
「きゃー!!」
また誰かが、入れたのだろうか。見てなかった。
「ごめん、今どっちが点数入れた?」
隣のクラスの得点係に訊ねると、
「そっちのチームだよ」
と呆れながら教えてくれた。
手元の得点を2点追加すると、
「ちなみに、スリーポイントシュート」
と言われ、急いでもう一点追加する。
スリーポイントなんてすごいな。
その時、選手交代したらしい宮成がこちらに駆けてきた。
「綿谷、見てた? 俺のロングシュート」
「あー……、ごめん。見てなかった」
スリーポイントシュートはお前だったか。
さっきまでいやでも耳に入ってきた女子の声は、宮成の登場に、小さな声に変わる。
意中の相手を前にすると、きっとみんな乙女になるのだろう。
「えー綿谷見てると思って、頑張ったのに……。てかスコア係なら見てろよ」
宮成は残念そうに肩を落としながら、口を尖らせる。
「それは本当に、ごめん」
素直に謝ると宮成は、冗談だよと笑いながら、体操服の袖で首筋の汗を拭った。
普段は髪を下ろしている宮成だが、体育の時だけは後ろでひとつ結びになる。そのほうが髪が邪魔にならないらしいが、いつもは隠れてる首元が丸見えで、俺はなんだか少しドキッとした。
……俺って、うなじフェチだったのか? ってか、女子のじゃない、宮成の男のうなじに、ドキってなに?
自分のことなのに、自分が一番わかっておらず戸惑っていると、
「 慧ー!」
不意に名前が呼ばれ、宮成が目線を後ろへ向けた。
声の主を確認した瞬間、宮成の表情がわずかにこわばった。
「げ、 翠……」
こっちこっちと手招きをされて、宮成は仕方なくといった様子で彼女の元へ歩いて行った。
気になって、視線だけで追いかけようとしたが、「点数、入ったよ」という隣の声に遮られる。
「あ、ごめん」
慌てて点数をめくりながら、チラリ横目で見ると、二人はネット越しに会話をしていた。
耳に神経を尖らせてみるが、体育館の喧騒に紛れ、声まではよく聞こえない。
「あの二人、仲良いよな」
選手交代をしたらしい瀬田が、汗を拭きながら隣に並んできた。
「お疲れ」と口にしながらも、無意識に視線は二人を追ってしまう。
……仲、良いんだ。そういえばお互いに名前で呼んでたな。
「なんか、中学は別だったけど、小学校の頃の同級生らしいよ」
俺の視線に気づいてか、瀬田はわざわざの 翠情報を教えてくれる。
「へぇ……。綺麗な子だよね」
「女バスで一番人気だもんね。まぁ、気が強そうだから俺は苦手だけど」
モデルのようにスラリとした長身が、宮成とよく似合っている。隣に並んでいるだけで、本当に絵になる。
でも――。
なんだか、面白くない。
胸のモヤモヤがわずかに鮮明になりかけた時。
「ナツっきー! 次お前の番!」
コートの向こうから明石の声が聞こえた。
「……あ、うん!」
そうか、勝手にスコア係のつもりだったけど、俺も一応、選手だった。急いで隣の瀬田にスコアボードを任せて、コートの中へ入る。
何億光年ぶりのバスケ。
経験者とは名ばかりで、試合にすら出たことはないから、ほとんど初心者だけど。
お願いだから、ボールが回ってきませんように。
そう思いながら、一応はボールを追いかける。
その時、ふと、ボールの先の宮成が視界に入った。
翠と話をしながら、何か照れたように顔を赤らめている。
……なんだ、その顔。それは自分が見たことのない、宮成の顔だった。まるで……、そう。恋をしているかのような、そんな顔。
――ずきん。
胸の痛みに、思わず走る足を止めそうになった時、宮成が俺の視線に気づき、目を見開いた。驚いたような、焦った表情。
え、なに、その表情。
「綿谷!前!前ー!」
「え?」
声に気づいた時にはもう、ボールは目の前に飛んできていて、俺は反射的に右手を前に出した。
グギッ――
音はしなかったけれど、そう骨に響く衝撃があった。
「――痛っ」
咄嗟に、逆の手で、右手の人差し指と中指をギュッと握りしめる。
痛い。まるで指に心臓があるかのように、じんじんと脈を打つ。
試合を止めるホイッスルが響き、ボールが一人でにバウンドして転がっていく。
「綿谷、大丈夫か?」
真っ先に駆け寄ってきたのは、宮成だった。
「……大丈夫、大丈夫」
そう言いながら、痛みで冷や汗が出る。
やばい。一人だったら絶対に泣き喚いてた。
先生や、他のクラスメイトも集まってきて、なんだか少し大事になってしまう。
「突き指だな。保健室行って、テーピングしてもらってこい」
指の状態を見た先生は、端的に告げる。
「あ、はい……」
そう返事をすると同時に、宮成が一歩前に出た。
「先生、俺、付き添います。バスケ部なんで、突き指の処置には慣れてるし」
「そうか、じゃぁ宮成頼んだぞ」
先生の許可をもらい、宮成は当然のように、保健室へ行く俺の隣に並んだ。
「はやく行こう、突き指はすぐに冷やさなきゃだから」
そう言って、宮成は俺の左腕を握った。
けれど、その手を俺は思わず払った。
払った瞬間、しまった、と思ったがもう遅い。
「……いいって。保健室くらい一人で行けるし。……宮成はやることあるだろ」
そっけない声になってしまったのには、心当たりがある。
さっきの女バスの彼女と話をしていた宮成の顔が脳裏にこびりついて離れないのだ。
あんな顔するなんて、もう、あの子のことが好きだって言ってるようなもんだろ。
なんだか泣きたくなったけど、きっとそれは指が痛いから。
宮成の横を通り過ぎて一人で保健室へ向かおうとした時、宮成が俺の歩みを遮るように、壁に手をついた。行き場を塞がれて、目を伏せると、宮成の少し低い声が鼓膜を揺らした。
「そんな可愛くないこと言うなら、今この場で、お姫様抱っこしてでも保健室まで着いていくけど」
「なっ……、やめろ、それだけはやめろ!」
冗談には聞こえず、必死で抵抗する。
こいつは本気でやりかねないから怖いんだ。
そんな俺を見て、宮成はにこりと微笑んだ。
「じゃぁ、俺が付き添うの、許して」
口は微笑んでいるが、目は笑ってない。
有無を言わせないその笑顔に、俺は「わかったよ」と小さく呟いた。
その瞬間、地響きのように黄色い声が体育館を震わせた。
あまりの声の大きさに、振り返ると、体育館を半分に分けたネットの向こう側で、女子たちが目を輝かせ宮成を見ている。
(練習でこれってことは、本番はもっとすごいぞ……。)
球技大会までの一週間。
体育の授業は全て、球技大会の練習になる。他クラスと合同授業だからか、いつもよりもギャラリーが多い。
ギャラリーが多いってことは、俺の失態も当然見られるわけで。
……って、誰も俺なんか見てないか。
「宮成くんってマジでかっこいいよねー」
「わかるー。私も三組がよかったな」
「宮成くんって、彼女いるのかな」
スコアボードの点数をめくっていると、背中越しの会話が聞こえてきた。
女子の会話ってなんであんなに声が大きいんだ。聞こうとしなくても自然と耳に入る。
そして、やっぱり宮成はモテるらしく、会話は宮成のことで持ちきりだ
まぁ身長も高いし。顔もいいし。運動神経は抜群だし。料理はうまいし。
……って、あいつは完璧かよ。
いや、あいつにも欠点くらいある。
ちょっと強引だし、何より俺に甘すぎる。
最近は、弁当だけじゃなくて、お菓子やジュースまで与えてくるようになった。俺を丸々に太らせて食う気なんじゃないか。そう疑ってしまうほど、ベタベタに甘やかす。
一体なにが目的なのか、それだけでも教えてもらいたい。
「でも、ちょっとクールすぎない?」
「そこがカッコいーんじゃん!」
「確かにね、でも彼女にも冷たそうじゃない?」
背中越しの女子の会話は、まだ続いていた。
彼女たちの想像の中の宮成に、俺は、そうかなと首を傾げる。
多分、あいつは恋人には、もうでろんでろんに優しいタイプだと思う。
だって、友達の俺にさえ、こんなに甘いのだ。
みんな、宮成のこと、全然わかってないな……。
俺の方が宮成を知っている。
そう思うと、ほんのわずかに優越感が滲んだ。
「やっぱ、宮成くんって、彼女にも冷たいの? どうなの? 翠」
女子の一人が、翠と呼ばれる女子に訊ねた。
「あー、どうだろ。でも、基本は執着タイプだから、付き合ったらめちゃくちゃ優しくなると思うよ」
自分の中の宮成と解像度が一緒の答えに、思わずスコアボードをめくる手が止まる。
一体どんな子だろう。
翠と呼ばれた女子が気になって、振り返って見ると、そこには、長い黒髪を一つにまとめた美人がいた。少し吊り目気味な彼女は、スラリと背が高く、腕組みをして、宮成の試合を見ていた。
あいつのこと、よく知っているのかな……。
そう思ったとき、翠とばっちり目が合ってしまった。
慌てて逸らそうすると、彼女はなぜか、俺に向かってにこりと微笑みかけた。
……怖い。女子、怖すぎる。あの微笑みってどういう意味だ?
こっち見てんじゃねーよ、とか?
あぁ、すみません。勝手に見てしまって。
心の中で必死に謝罪をすると、またも体育館を震わすほどの歓声が上がった。
「きゃー!!」
また誰かが、入れたのだろうか。見てなかった。
「ごめん、今どっちが点数入れた?」
隣のクラスの得点係に訊ねると、
「そっちのチームだよ」
と呆れながら教えてくれた。
手元の得点を2点追加すると、
「ちなみに、スリーポイントシュート」
と言われ、急いでもう一点追加する。
スリーポイントなんてすごいな。
その時、選手交代したらしい宮成がこちらに駆けてきた。
「綿谷、見てた? 俺のロングシュート」
「あー……、ごめん。見てなかった」
スリーポイントシュートはお前だったか。
さっきまでいやでも耳に入ってきた女子の声は、宮成の登場に、小さな声に変わる。
意中の相手を前にすると、きっとみんな乙女になるのだろう。
「えー綿谷見てると思って、頑張ったのに……。てかスコア係なら見てろよ」
宮成は残念そうに肩を落としながら、口を尖らせる。
「それは本当に、ごめん」
素直に謝ると宮成は、冗談だよと笑いながら、体操服の袖で首筋の汗を拭った。
普段は髪を下ろしている宮成だが、体育の時だけは後ろでひとつ結びになる。そのほうが髪が邪魔にならないらしいが、いつもは隠れてる首元が丸見えで、俺はなんだか少しドキッとした。
……俺って、うなじフェチだったのか? ってか、女子のじゃない、宮成の男のうなじに、ドキってなに?
自分のことなのに、自分が一番わかっておらず戸惑っていると、
「 慧ー!」
不意に名前が呼ばれ、宮成が目線を後ろへ向けた。
声の主を確認した瞬間、宮成の表情がわずかにこわばった。
「げ、 翠……」
こっちこっちと手招きをされて、宮成は仕方なくといった様子で彼女の元へ歩いて行った。
気になって、視線だけで追いかけようとしたが、「点数、入ったよ」という隣の声に遮られる。
「あ、ごめん」
慌てて点数をめくりながら、チラリ横目で見ると、二人はネット越しに会話をしていた。
耳に神経を尖らせてみるが、体育館の喧騒に紛れ、声まではよく聞こえない。
「あの二人、仲良いよな」
選手交代をしたらしい瀬田が、汗を拭きながら隣に並んできた。
「お疲れ」と口にしながらも、無意識に視線は二人を追ってしまう。
……仲、良いんだ。そういえばお互いに名前で呼んでたな。
「なんか、中学は別だったけど、小学校の頃の同級生らしいよ」
俺の視線に気づいてか、瀬田はわざわざの 翠情報を教えてくれる。
「へぇ……。綺麗な子だよね」
「女バスで一番人気だもんね。まぁ、気が強そうだから俺は苦手だけど」
モデルのようにスラリとした長身が、宮成とよく似合っている。隣に並んでいるだけで、本当に絵になる。
でも――。
なんだか、面白くない。
胸のモヤモヤがわずかに鮮明になりかけた時。
「ナツっきー! 次お前の番!」
コートの向こうから明石の声が聞こえた。
「……あ、うん!」
そうか、勝手にスコア係のつもりだったけど、俺も一応、選手だった。急いで隣の瀬田にスコアボードを任せて、コートの中へ入る。
何億光年ぶりのバスケ。
経験者とは名ばかりで、試合にすら出たことはないから、ほとんど初心者だけど。
お願いだから、ボールが回ってきませんように。
そう思いながら、一応はボールを追いかける。
その時、ふと、ボールの先の宮成が視界に入った。
翠と話をしながら、何か照れたように顔を赤らめている。
……なんだ、その顔。それは自分が見たことのない、宮成の顔だった。まるで……、そう。恋をしているかのような、そんな顔。
――ずきん。
胸の痛みに、思わず走る足を止めそうになった時、宮成が俺の視線に気づき、目を見開いた。驚いたような、焦った表情。
え、なに、その表情。
「綿谷!前!前ー!」
「え?」
声に気づいた時にはもう、ボールは目の前に飛んできていて、俺は反射的に右手を前に出した。
グギッ――
音はしなかったけれど、そう骨に響く衝撃があった。
「――痛っ」
咄嗟に、逆の手で、右手の人差し指と中指をギュッと握りしめる。
痛い。まるで指に心臓があるかのように、じんじんと脈を打つ。
試合を止めるホイッスルが響き、ボールが一人でにバウンドして転がっていく。
「綿谷、大丈夫か?」
真っ先に駆け寄ってきたのは、宮成だった。
「……大丈夫、大丈夫」
そう言いながら、痛みで冷や汗が出る。
やばい。一人だったら絶対に泣き喚いてた。
先生や、他のクラスメイトも集まってきて、なんだか少し大事になってしまう。
「突き指だな。保健室行って、テーピングしてもらってこい」
指の状態を見た先生は、端的に告げる。
「あ、はい……」
そう返事をすると同時に、宮成が一歩前に出た。
「先生、俺、付き添います。バスケ部なんで、突き指の処置には慣れてるし」
「そうか、じゃぁ宮成頼んだぞ」
先生の許可をもらい、宮成は当然のように、保健室へ行く俺の隣に並んだ。
「はやく行こう、突き指はすぐに冷やさなきゃだから」
そう言って、宮成は俺の左腕を握った。
けれど、その手を俺は思わず払った。
払った瞬間、しまった、と思ったがもう遅い。
「……いいって。保健室くらい一人で行けるし。……宮成はやることあるだろ」
そっけない声になってしまったのには、心当たりがある。
さっきの女バスの彼女と話をしていた宮成の顔が脳裏にこびりついて離れないのだ。
あんな顔するなんて、もう、あの子のことが好きだって言ってるようなもんだろ。
なんだか泣きたくなったけど、きっとそれは指が痛いから。
宮成の横を通り過ぎて一人で保健室へ向かおうとした時、宮成が俺の歩みを遮るように、壁に手をついた。行き場を塞がれて、目を伏せると、宮成の少し低い声が鼓膜を揺らした。
「そんな可愛くないこと言うなら、今この場で、お姫様抱っこしてでも保健室まで着いていくけど」
「なっ……、やめろ、それだけはやめろ!」
冗談には聞こえず、必死で抵抗する。
こいつは本気でやりかねないから怖いんだ。
そんな俺を見て、宮成はにこりと微笑んだ。
「じゃぁ、俺が付き添うの、許して」
口は微笑んでいるが、目は笑ってない。
有無を言わせないその笑顔に、俺は「わかったよ」と小さく呟いた。
