折り鶴サマの満つる刻

 治りかけの右足が重い。完治していないから全力で走ることもできず、焦りとストレスだけが一方的に膨らんでいく。
 職員から電話がかかってきてから、もう一時間ほどが経っていた。そのときはまだ高かった日も落ち始め、青かった空は徐々に橙色に染まり始めている。
 保育園、高校、病院。あれから思いつく限りの場所を探して回ったが、光里を見つけることは未だできずにいた。一度つぐみの家にも戻ってみたが、すでに帰ってきていた、なんてこともなかった。
 職員がキッチンで皿洗いをしていた隙に、忽然といなくなってしまったという。ドアを開ける音に気づき、職員が確認しに行ったが、家の前には誰もいなかったという。
 どこへ行ってしまったのだろう。あの子の足では、そう遠くへ行けるはずないのに。
 玄関ドアの開閉音がしたのなら、光里は家を出たことになる。だが職員が確認した限り、玄関の上についている監視カメラに、人の出入りは記録されていなかったらしい。状況と矛盾している。
 どれだけ探しても、道行く人に尋ねても、誰も光里を見ていないと首を振るばかりだ。日中は人通りが少ないものの、午後には買出しなどで出歩く人も多いはずなのに、目撃者が一人もいないなどあり得るだろうか。
 これではまるで神隠しだ。直前に聞いた噂が頭を離れない。蜃気楼とともに現れ、子どもを連れ去るミツルさまという怪異――。
 光里にはミツルさまが見えていた。友達になったとも言っていた。ミツルさまに狙われたとしても、なんらおかしくない。置いてくるべきではなかったと、後悔しても遅い。
「光里……」
 こうしている間にも、妹の命に危険が迫っているかもしれない。怪異ではなく、人の手にかかってしまった可能性だってある。どちらにせよ事態は悪化し続けている。なのにこちらの取れる方法が、探し回るほか何もない。
 交番の前で張られていた行方不明の子どものチラシと、娘を探せと警察に迫る男の姿がフラッシュバックする。その背中が自分自身のものにすげ変わり、チラシの写真が光里の顔に取って代わる。
 慌てて頭を振って不吉なヴィジョンをかき消す。だが本当はわかっている。もし見つからなければ、ヴィジョンは現実になってしまう。
 また、一人になるのは嫌なのに。
 空が夕焼けに染まる頃になっても、光里はまだ見つからなかった。方々を探して町を彷徨い歩き、気が付けばつぐみの家の前の公園に戻ってきていた。
 痛みを無視して酷使し続けた右足は鉛のように重く、半ば感覚が麻痺しつつあった。近くの石塀にもたれつつ、どうにか一歩ずつ前に進む。もう少しで、日が完全に沈んでしまう。そうなると、今日はもう光里を探せなくなる。
 一人で夜を明かすことがどれほど長く、どれほど心細いものか、霊体となり、眠りを持たずに漂っていた頃に身をもって知った。あの寂しさを光里に味わわせたくないし、俺も二度とごめんだ。
 だが時間はない。時を止める魔法がない以上、太陽は刻一刻と無情にも沈んでいく。どうにもできない焦燥感が足取りを早め、かと思えばその場に立ち尽くさせる。
 ふいに足が止まった。目を見開き、公園の方を凝視する。
 つぐみの家の向かい側にある小さな公園。そのブランコの上に、光里が座っていた。足を揺らし、一人空を見上げている。
 この近辺は俺だけでなく、職員もくまなく探していたはずだ。だが誰もいなかった。遮蔽物の少ない公園で、どこかに隠れていたとも考えにくい。
 なのにあまりに自然に風景に溶け込んでいるその様子は、まるで最初からずっとそこにいたかのようだった。
「――光里!」
 刹那、足の痛みなど海の彼方に吹き飛んだ。いつからそこにいるのか、どうしてそこにいるのか、そんなことも今はどうでもいい。
 光里が見つかった。無事でいてくれた。唯一残された家族を、失わずに済んだ。
 右足を引きずりながらだと、思うように早く進めなくてもどかしい。いっそ切ってしまえば、なんて思いかけたが、後々よほど大変なので早まってはいけない。
 もつれそうになる足に鞭打って砂場を突っ切り、ブランコのそばまでやってくる。のろのろとした動きで光里が振り向き、こちらの気も知らず、寝起きのようなぼんやりとした目で小首をかしげる。
「おにいちゃん? どうしたの……」
「どうしたのじゃない! 一人でどこへ行ってたんだ!」
 安堵と怒りがないまぜになり、感情が昂るままそう叱りつけていた。光里の小さな肩がびくんと跳ね、ぼんやりしていた瞳にみるみる光が戻っていく。
「ご、ごめんなさい……」
 今にも泣きそうに顔を歪め、体を縮めて震え出す。俺はハッと我に返った。妹のこの反応には覚えがある。亮の怯えていたときと同じだ。
「いや……俺も、怒鳴ってごめん」
 途端に理性が感情を抑え込む。余裕がなかったとはいえ、これでは駄目だ。あの男と、同じになってしまう。
「とにかく、無事でよかった。怪我は? 何ともない?」
 こくりと光里が頷く。深く息を吸って気持ちを落ち着かせ、俺は努めていつも通りに笑ってみせ、妹の頭をそっと撫でた。ようやく、光里の強張った体から力が抜ける。
「何があったか、教えてくれる? 怒らないって約束するから」
 鈍く痛む右足をかばいながら身をかがめ、光里と視線を合わせて優しく問いかける。こちらの顔色を伺うように、光里がおずおずと伏せたまぶたを上げた。頷いて先を促せば膝の上で両手をぎゅっと握りしめ、もごもごと話し始める。
「……こえがきこえたの。『あそぼう』って」
「声?」
「うん。だから、いっしょにあそんだの。ちゃんとおもいだせないけど……たのしかった」
 楽しかった、と言う割に、光里は少し後ろめたそうだった。周りに心配をかけたのに、自分はそう思っていることが申し訳ないのだろう。
「そっか。誰と遊んだの?」
 その言葉が嘘じゃないとわかるからこそ、俺はそれ以上問い詰めるような真似はしなかった。光里には後で改めて言い聞かせる必要があるだろうが、少なくとも”楽しかった”と感じた気持ち自体は否定してやりたくない。
 怖い思いをせずに済んだのは、きっと幸いなことだ。今回の件で、幼い心に後にまで響くようなトラウマが残ることはない。わざわざ藪をつつきに行く必要もないはずだ。
 光里が顔を上げる。無垢な瞳が、逆光に翳った俺の顔を映す。
「ミツルさま」
 心のどこかで、そうではないかと考えてはいた。だがいざ光里の口から実際にその名が出ると、うすら寒い実感が背筋を這う。
 ミツルさまの噂は本当だった。例年よりも多発している蜃気楼と、行方不明になった子どもたち。交番の掲示板に張られたビラはまだそのままだし、消えた子たちが見つかった知らせも聞かない。それも全て、ミツルさまの仕業なのだろうか。
「どうしてついて行っちゃったんだ。みんな、心配してたんだよ?」
「ごめんなさい……」
 しゅんと垂れる耳が見えそうなほど、光里はしおしおと項垂れて落ち込んでしまう。
「でもミツルさま、さびしそうだったから」
「……寂しそう?」
 恐ろしい、とかならまだわかるが、なんだか怪異には似合わない形容だ。問い返すと光里は小さく、しかしわずかな迷いもなく頷いた。
「ママがしんじゃったときの、おにいちゃんみたいでかわいそうだったから」
 ただでさえ謎だらけの現状が、余計わけわからなくなったような気がする。俺は当惑したまま光里の目を見つめた。
 母――千羽律子が死んだときのことは、今もよく思い出せない。思い出したくないだけかもしれない。
 内縁関係にあった亮の運転する車がガードレールを突っ切って崖下に落ち、同乗していた母も巻き込まれて即死した。今年の元旦の頃の話だ。
 現場には急ブレーキと急ハンドルを切ったタイヤ痕が残っていたものの、何かと接触した痕跡は見つからず、現場が山道であったことから警察は野生動物を避けようとして誤って転落したものだろうと断定した。
 ひどいショックを受けた。それだけは覚えている。これが三ヶ月後、屋上から転落する直接的な原因……かは言い切れないが、遠因となったのは間違いないだろう。
 ミツルさまが当時の俺に似ていると、光里は言う。意味がわからない。ミツルさまも、同じく親を失って悲しんでいたとでもいうのか。
「……ミツルさまとは、何をして遊んだんだ?」
 そんなわけないだろう、と否定したくなる気持ちをぐっと堪え、俺は続きを促す。聞きたい、知りたい。そう感じているこの胸の動悸が、心配からか渇望からか、だんだんとわからなくなってきた。
 うまく記憶をさかのぼれないのか、光里は目を泳がせて首を傾げる。そういえば、ちゃんと思い出せないと、さっきも言っていた。終始握りしめていた右手を開き、こちらに見せてくる。
 小さな手のひらの上には、紙でできた何かの塊が乗っていた。よれて黄ばみ、ずっと握っていたせいで殆ど形は崩れてしまっている。だが広げられた羽や折り込まれた頭の痕跡から、辛うじてそれが折り鶴であったことに気づく。
「折り紙で遊んだの?」
「わかんない……」
 自分でも不思議そうな、しかしどこか残念そうな表情で光里が首を横に振り、手のひらの中の折り鶴をじっと見下ろす。
「でも、かえりたいっておねがいしたら、かなったの」
「その鶴に?」
 そう聞き返すとコクンと頷く。妹の視線を追い、俺も折り鶴に目をやる。
「じゃあ、折り鶴が助けてくれたんだね」
 蜃気楼の怪異に連れ去られたのに、折り紙の鶴に助けられるなんてどんな因果関係だと思うが、つまるところ言いたいことはそういうことらしい。式神とかそういう類のものかな、とあっさり片付けてしまうのはさすがにサブカルに毒されすぎかもしれないが。
「『おりづるサマ』はなんでもおねがいをきいてくれるって、ミツルさまがいってた」
 だが次いで光里の口から出た言葉に、一瞬耳を疑った。
「……折り鶴、サマ?」
 どうして、今ここでその単語が出てくるのだろう。それはミツルさまとは無関係の、別の話のはずではないか。
「ねがいごとをかいたかみで、つるをおったらかなえてくれるの」
「……」
「ミツルさまがおしえてくれた」
 光里の語る『折り鶴サマ』は、どうあがいても別物とは言い張れないレベルで、俺の知っている『折り鶴サマ』と全く同じ内容だった。
 折り鶴サマ。俺の学校で一時期流行った、出所不明のおまじない。願い事を書いた紙を折り鶴にして屋上の貯水槽のふもとに納めれば、願いが叶うというものだ。
 それを、どうしてミツルさまが知っている――?
 頭の中で何かが崩れ、新たな可能性が組み上がっていく。ずっと二つは別々の、独立した噂だと思っていた。でも、もしそうでなかったとしたら……。
 夏休みを得て、校内での『折り鶴サマ』の流行は過ぎた。そして入れ替わるように、今度は町内で『ミツルさま』の噂が囁かれるようになった。二つが交わった期間はほとんどなかったはずだ。
 特に折り鶴サマに関しては、恐らく塩越高校の生徒の間だけに広まっていたものだ。関係者でもなければ知る由もない。なのに後発の怪異のはずのミツルさまが、折り鶴サマのまじないを光里に教えた。
 この怪異は『ミツルさま』となる以前から、折り鶴サマを知っていたことになりはしないか。去年の暮れ頃から出始めた、まだ年若いその噂を知っているとなると、可能性のある人物はおのずと限られてくる。
 一人、思い当たる人がいた。折り鶴サマのことをよく知っていて、かつ、もしかしたら生身の人間ではなかったかもしれない人。
 まさか――ツル?
 俺が意識を取り戻してから一度も姿を見せていないツル。同じくらいの時期から現れ始めたミツルさま。
 祖父と同じ写真に写っていた、あの充という顔のない少年の姿が脳裏に浮かぶ。でも、どうして? 仮に本当にミツルさまの正体がツルだとして、ミツルさまはどうして子どもをさらう。そんな真似をするような奴ではなかった。でなきゃ俺を肉体に戻し、生かそうともしなかったはずだ。
 いつから、ツルは『ミツルさま』になっていたのだろう。俺を崖下に落としたとき? それとも、もっと前――?
「おにいちゃんも、かなしいの?」
「え?」
「だってミツルさまが、むかえにきてるよ」
 純粋な声音で放たれた一言に、刹那、全身の神経がざわりと粟立つ。光里の双眸はこちらを見ているようで、俺の肩を通り越してその後ろに向けられていた。
 ミツルさまが、迎えに来てる。変質してしまった馴染み深い気配が、すぐ背後に迫っている。
 刻一刻と日が沈み、暗さが増していく逢魔が時の公園で、光里の黒い瞳が強まり始めた周囲の闇を吸ってほの暗く瞬く。
 黒い水晶体の真ん中に、俺が映っている。まるで黒いヴェールにでも包まれたように、黒々と揺らめく漆黒の影にまとわりつかれながら。
 全身の血の気が引き、とっさにその場を離れようとしたが、金縛りに合ったように体が動かない。光里はぜんまいが切れた人形のように何も言わず、俺も何も言えない。
 ただ背中で渦巻く不気味な影が、じわじわと首元に忍び寄ってくるのを瞳越しに見つめることしかできない。
 首を絞めようとしている風にも、抱きしめようとしている風にも見えた。視界の端に黒い火花が散り、目の前の光里の顔が霞んで遠ざかっていく。
『……本当に、こんなまじないがあるのか?』
 一羽の鶴を手にした俺の姿が見える。頭の奥で声がする。水底から聞いているようなくぐもった音は、間違いなく自分自身の声だ。
『実際にあるかないかなんて重要じゃない。君が気休めになると思えば、何をしようと意味はあるはずでしょ?』
 そしてその疑問に返ってきたのは、二ヶ月ぶりに思い出した懐かしい声。
 光里が座っていたブランコを揺らし、のらりくらりとそう宣うツルの態度は、あの頃と変わらず飄々と憎たらしかった。

 ***

『ねぇ、折り鶴サマって知ってる?』
 放課後の公園で、ツルから突然そんな話題を吹っ掛けられた。
『知らない。何それ』
『おまじないだよ。海斗くんにぴったりの』
 寄りかかっていた滑り台の柱から上を見上げると、ちょうどツルが頂上からスーッと滑り落ちてきたところだ。
『折り紙に叶ってほしい願い事を書いて、それを鶴に折るだけ。簡単でしょ?』
『簡単すぎて胡散くさい』
『えぇ、手厳しいなぁ。こういうのはとりあえず信じるフリだけでもしておくのが楽しいのに』
『自分で信じる”フリ”とか言っちゃってるじゃん……』
 呆れて吐いたため息は白く、海から吹く冷たい風にまぎれて降り積もる雪の白に消えていく。
『それで? そうやって折り鶴に託した願いは誰が叶えてくれるわけ?』
『あ、なんだかんだ聞いてはくれるんだ?』
『……からかうようなら撤回するぞ』
『残念、返品は受付なしだ』
『悪徳商法かよ……』
 ケラケラと確信犯的に笑うツルをひと睨みするも、まったく堪えている様子はなくもはや諦めの境地である。ツルの言動にイチイチ反応していては思う壺だとわかっているが、どうにもいいように転がされてばかりなのが未だに癪だ。
『さっきも言ったでしょ? 折り鶴サマだって。願いを聞いてくれるのも、折り鶴サマ』
『安直すぎない?』
『そこは覚えやすいと言ってもらいたいね』
 もはや自分の創作まじないであることを隠そうともしていない堂々っぷりは、いっそ潔さすらあった。癪だが、同時に羨ましかった。彼ほどよく回る口があれば、自分ももう少しうまく立ち回れただろうか。
 祖父という要を失った家の中で、我が物顔でのさばっているあのクズな男から、母を、妹を、もっとうまく守れただろうか。
 夕べ酒瓶で殴りつけられた背中がズキズキと痛む。こちらを見下ろし、勝ち誇ったような卑下た笑みを浮かべる亮の顔を思い出すだけで、胸の奥底からドロリとどす黒い感情があふれ出てくる。
 どうにかそれを押し戻して蓋をし、足元に置いていた通学鞄に目を落とす。少し考え、手を伸ばして中から包装に入った折り紙の束を取り出す。普段から持ち歩いている、どこでも売ってるような普通の五十枚入りだ。
 願い事を実際に書いてみる気には、まだならなかった。背後でツルが何度も飽きもせず滑り台を滑っている音を聞きながら、折り紙の角と角を合わせて折り目をつけていく。
 紙を折り慣れた指の中で、あっという間に折り鶴が完成する。指先でつまみ上げ、雪模様で曇った空に掲げてみる。流されるまま作ってみたけど、特にこれといって感慨もわかない。
『……本当に、こんなまじないがあるのか?』
 ないと知っているのにそう呟いてしまうのは、それでも心のどこかで信じたいと思う気持ちが、まだわずかでも残っているからだろうか。
 背後の滑り台から物音が消える。再び上を見上げようとしたが、いつの間にか降りてきたのか、ツルは音もなくすぐ隣に立っていた。彼の瞬間移動じみた動きにも、今はもうすっかり慣れてしまった。
『実際にあるかないかなんて重要じゃない。君が気休めになると思えば、何をしようと意味はあるはずでしょ?』
 ツルは時折、ひどく超然としたことを言う。同じ制服をまとう者同士なのに、見てきた世界がまるで違うような、どこか浮世離れした隔絶感がある。
『それってつまり、適当なこと言ってるってこと?』
『まさか。僕はいつだって本気だよ?』
 いつだって彼の言葉の真意を読むことは難しく、なのに彼の方はいつだって簡単にこちらの心を読み解いてしまう。
『君はもう少し、胸の内を吐き出すことを覚えた方がいい。憎しみも、苦しみも、全部折り鶴サマに聞いてもらえ。それなら、誰も傷つかずに済むでしょ?』
 察しがいい人間は嫌いなのに、不思議とツルのことは嫌いとは思わなかった。子ども騙しのようなベタで安易なまじないの体裁をとった、巧妙に逃げ場。少しでも楽に息ができる方法を、彼だけが教えてくれる。
 こちらの事情を察しながらも不躾に覗き込んだりせず、突き放したりもしない。秘密を持ったままそばにいることを許し、ただ無条件に受け止めてくれる。その無関心にも似た優しさが心地よく、それを知らずにいた頃にはもう戻れそうもない。
『……ツルって、いいヤツだよね』
『やっぱり? よく言われる』
『腹立つなぁ……』
 予想通り調子に乗った返答に、釣られて口角が自然と上がる。この救いが単なる気まぐれなのか、それとも計算された慈悲なのかはどうでもいい。
 ツルといる間は、仮面をかぶっていない素の自分のままでいられる。ただ、それだけでよかったのだ。