――小学5年生の2学期開始前――
とある転校生が俺のクラスにやってきた。
「転校生の星空雪菜です。よろしくお願いします」
そう挨拶する転校生の少女は細く華奢な身体に、白く透き通った柔い肌、長く華麗な黒髪とまさしく絵に描いた美少女だった。
「か――かわいい」
「お人形さんみたい」
突然の転校生の登場に沸き立つクラスメイト達。
「(へー転校生ね。そんなに転校生が良いものなんか)」
そんな中、今まで女子に対して異性として全く意識をしたことない俺は、沸き立つクラスメイト達をよそに冷ややかな眼差しでその光景を見ていた。
「それじゃあ星空さんは柿沢くんの隣に座って」
そんな中で担任に指示され、たまたま空いていた俺の席の隣にやってきた転校生。
「柿沢くん。これからよろしくお願いします」
彼女が真横にやって来て、そうご丁寧に挨拶するものだから俺もそれなりにちゃんと挨拶を返さないといけないと思い彼女の方へ視線をやった次の瞬間だった。
「えっ……」
――それは突然やってきたのだ。
真横の席に座った彼女に視線を向けたその瞬間。
俺の全身を這うようなこれまで感じたことのないくらい鼓動が速くなる不思議な感覚。
間近で聞く彼女の可愛らしい声に、透き通った清楚な外見、そして微かに鼻腔を貫いた甘い香り。
俺はたった一瞬で――彼女の虜になっていた。
「お…おう」
何て返事の仕方をしてしまったんだ――と思った俺だったが、その後も暫く彼女の方をまともに見ることが出来なかった。
――そんな日々が続いてあっという間に席替えの日がやってきてしまった。
うちの学校の席替えはクジで行う。
その為、好きな子と隣の席になれるかどうかは《運》で決まるということ。
――そして俺の運はいかほどかと言うと……
……見事に外れてしまった。
俺は表情には出してないつもりだったが心の中では絶句していた。
あぁ…教科書を見せてくれていた…筆記具を貸してくれた…一緒に席を並べて給食を食べた―あの―日々が終わる。
そう後悔に浸った俺だった。
でも思えば助けてもらってばかりだった気もするけど掛け替えのない時間だったと改めて思う。
彼女とずっと隣の席が良かった。
――と思いつつ次の彼女の隣になる人物をじっと睨んでいた。
今度は後ろの席に座っている俺が、前の席に移動した彼女を眺めると言う立場になった。
彼女の笑顔はいつも素敵だった。
髪型や服装も日によって変えて来ているのを彼女にバレないようにこっそりと見ていた。
こうやって一人語りをしているとストーカーのようにも聞こえるかも知れないが恋とはそう言うものではないか。
もちろん教室で見掛けるこの時間以外は彼女を追うことはないのだから。
こうして彼女と距離が開いたままのある日。
林間学校と言う小学校での一大イベントが始まった。
その中でこれまでの席替えの運をここで使い果たしたかのように彼女と一緒の班になれたのだ。
半合炊飯の際も奇跡的にペアになれて2人でカレーの材料を切ることになるなど、まさに夢のような時間だった。
おぼつかない会話しか出来なかったけど久しぶりに2人っきりの空間で会話出来たのは、とても嬉しかったし今でも良き思い出だ。
しかし、それは俺にとって最後に彼女とまともに絡んだ時間でもあった。
その後は再び同じ席になることもなく、2人っきりになる行事もなく、距離を詰めるどころか話す機会も殆どなく、会っても挨拶程度のクラスメイトと言う距離が続いた。
6年生になったらクラスが別のクラスになってしまいその距離はさらに開き、各クラスが集まる行事や休み時間の廊下などでしか、彼女の姿を見ることも少なくなっていった。
そのまま小学校を卒業し、中学に上がっても同じ学校ではあったものの全校生徒の多い学校だった為に、同じクラスになる機会はなく話すこともなくすれ違っていった。
それが俺の柿沢拓哉の――初恋――の結末だ。
そのはず…だった。
とある転校生が俺のクラスにやってきた。
「転校生の星空雪菜です。よろしくお願いします」
そう挨拶する転校生の少女は細く華奢な身体に、白く透き通った柔い肌、長く華麗な黒髪とまさしく絵に描いた美少女だった。
「か――かわいい」
「お人形さんみたい」
突然の転校生の登場に沸き立つクラスメイト達。
「(へー転校生ね。そんなに転校生が良いものなんか)」
そんな中、今まで女子に対して異性として全く意識をしたことない俺は、沸き立つクラスメイト達をよそに冷ややかな眼差しでその光景を見ていた。
「それじゃあ星空さんは柿沢くんの隣に座って」
そんな中で担任に指示され、たまたま空いていた俺の席の隣にやってきた転校生。
「柿沢くん。これからよろしくお願いします」
彼女が真横にやって来て、そうご丁寧に挨拶するものだから俺もそれなりにちゃんと挨拶を返さないといけないと思い彼女の方へ視線をやった次の瞬間だった。
「えっ……」
――それは突然やってきたのだ。
真横の席に座った彼女に視線を向けたその瞬間。
俺の全身を這うようなこれまで感じたことのないくらい鼓動が速くなる不思議な感覚。
間近で聞く彼女の可愛らしい声に、透き通った清楚な外見、そして微かに鼻腔を貫いた甘い香り。
俺はたった一瞬で――彼女の虜になっていた。
「お…おう」
何て返事の仕方をしてしまったんだ――と思った俺だったが、その後も暫く彼女の方をまともに見ることが出来なかった。
――そんな日々が続いてあっという間に席替えの日がやってきてしまった。
うちの学校の席替えはクジで行う。
その為、好きな子と隣の席になれるかどうかは《運》で決まるということ。
――そして俺の運はいかほどかと言うと……
……見事に外れてしまった。
俺は表情には出してないつもりだったが心の中では絶句していた。
あぁ…教科書を見せてくれていた…筆記具を貸してくれた…一緒に席を並べて給食を食べた―あの―日々が終わる。
そう後悔に浸った俺だった。
でも思えば助けてもらってばかりだった気もするけど掛け替えのない時間だったと改めて思う。
彼女とずっと隣の席が良かった。
――と思いつつ次の彼女の隣になる人物をじっと睨んでいた。
今度は後ろの席に座っている俺が、前の席に移動した彼女を眺めると言う立場になった。
彼女の笑顔はいつも素敵だった。
髪型や服装も日によって変えて来ているのを彼女にバレないようにこっそりと見ていた。
こうやって一人語りをしているとストーカーのようにも聞こえるかも知れないが恋とはそう言うものではないか。
もちろん教室で見掛けるこの時間以外は彼女を追うことはないのだから。
こうして彼女と距離が開いたままのある日。
林間学校と言う小学校での一大イベントが始まった。
その中でこれまでの席替えの運をここで使い果たしたかのように彼女と一緒の班になれたのだ。
半合炊飯の際も奇跡的にペアになれて2人でカレーの材料を切ることになるなど、まさに夢のような時間だった。
おぼつかない会話しか出来なかったけど久しぶりに2人っきりの空間で会話出来たのは、とても嬉しかったし今でも良き思い出だ。
しかし、それは俺にとって最後に彼女とまともに絡んだ時間でもあった。
その後は再び同じ席になることもなく、2人っきりになる行事もなく、距離を詰めるどころか話す機会も殆どなく、会っても挨拶程度のクラスメイトと言う距離が続いた。
6年生になったらクラスが別のクラスになってしまいその距離はさらに開き、各クラスが集まる行事や休み時間の廊下などでしか、彼女の姿を見ることも少なくなっていった。
そのまま小学校を卒業し、中学に上がっても同じ学校ではあったものの全校生徒の多い学校だった為に、同じクラスになる機会はなく話すこともなくすれ違っていった。
それが俺の柿沢拓哉の――初恋――の結末だ。
そのはず…だった。
