背後のロフトから木が軋むような音がする。
俺の心臓がどくどくと嫌な音を立てた。これは、何の緊張だ?
俺はノートパソコンに向き直り、震える指でキーボードを打った。
≫リアルで会うとかしていいの?姿とか……。
『あははっ、なにそれ。――私、このまんまだよ?』
フルスクリーンの画面いっぱいに顔を寄せたアイリンがこてっと首をかしげる。
さらさらとなびく黒髪ロングに、焦げ茶色のくりくりっとした瞳。
アイリンの素朴な3Dモデルの容姿は確かに、そのまま現実世界に居てもおかしく無い。
――パキパキッ、ギシッ。
家鳴りがする。俺の背後の、薄暗いロフトの上の方からラップ音が降ってくる。
『……な~んて冗談だよっ!ごめんね、ちょっとからかっちゃった♡』
自分の頭をコツっと叩いてウインクするアイリンにハッとした。……ああ、そりゃそうだよな。
『あっ、もうこんな時間になっちゃった!今日の配信はここまで!また明日もLIVE配信するから来てくれると嬉しいなっ!』
俺はノートパソコンの隣に置かれたデジタル時計を見た。
23時58分。確かに配信が終わる時間だ。
『それじゃあまた明日っ!またね、ケイさん』
アイリンが大きく手を振ったのを最後に、今日のLIVE配信は終了した。
「……」
黒画面から顔を離して、俺は振り返ってロフトを見上げた。
ロフトの辺りから響いていたラップ音はすっかり鳴りを潜めている。
アイリンと出会ってから一週間。
不思議な事に、あのラップ音や家鳴りはアイリンのLIVE配信中にしか鳴らない。
だが、その頻度は日を追うごとにエスカレートしている。
「……何か、あるのか?」
俺は立ち上がってロフトを見上げる。
俺はこのマンションに越して来てから一度も、あのロフトには上がっていない。
正確には、上がれない。ロフトに上がるための梯子が元から外されていたんだ。
「聞いてみるか……」
明日は休日だし、このマンションの大家に聞いてみよう。
そう思って、俺は床に敷かれている布団に潜り込んだ。
適当にスマホを眺めようと思って手に取ると、通知が何件も来ていた。
「げ」
好見からだ。
急激に嫌気がさして、俺はスマホをシャットダウンして布団の中で体を丸める。
別に後で良いだろう、好見だし。下手に返信してやり取りが長引いたら面倒だ。
そうして、俺は眠りについた。
俺の心臓がどくどくと嫌な音を立てた。これは、何の緊張だ?
俺はノートパソコンに向き直り、震える指でキーボードを打った。
≫リアルで会うとかしていいの?姿とか……。
『あははっ、なにそれ。――私、このまんまだよ?』
フルスクリーンの画面いっぱいに顔を寄せたアイリンがこてっと首をかしげる。
さらさらとなびく黒髪ロングに、焦げ茶色のくりくりっとした瞳。
アイリンの素朴な3Dモデルの容姿は確かに、そのまま現実世界に居てもおかしく無い。
――パキパキッ、ギシッ。
家鳴りがする。俺の背後の、薄暗いロフトの上の方からラップ音が降ってくる。
『……な~んて冗談だよっ!ごめんね、ちょっとからかっちゃった♡』
自分の頭をコツっと叩いてウインクするアイリンにハッとした。……ああ、そりゃそうだよな。
『あっ、もうこんな時間になっちゃった!今日の配信はここまで!また明日もLIVE配信するから来てくれると嬉しいなっ!』
俺はノートパソコンの隣に置かれたデジタル時計を見た。
23時58分。確かに配信が終わる時間だ。
『それじゃあまた明日っ!またね、ケイさん』
アイリンが大きく手を振ったのを最後に、今日のLIVE配信は終了した。
「……」
黒画面から顔を離して、俺は振り返ってロフトを見上げた。
ロフトの辺りから響いていたラップ音はすっかり鳴りを潜めている。
アイリンと出会ってから一週間。
不思議な事に、あのラップ音や家鳴りはアイリンのLIVE配信中にしか鳴らない。
だが、その頻度は日を追うごとにエスカレートしている。
「……何か、あるのか?」
俺は立ち上がってロフトを見上げる。
俺はこのマンションに越して来てから一度も、あのロフトには上がっていない。
正確には、上がれない。ロフトに上がるための梯子が元から外されていたんだ。
「聞いてみるか……」
明日は休日だし、このマンションの大家に聞いてみよう。
そう思って、俺は床に敷かれている布団に潜り込んだ。
適当にスマホを眺めようと思って手に取ると、通知が何件も来ていた。
「げ」
好見からだ。
急激に嫌気がさして、俺はスマホをシャットダウンして布団の中で体を丸める。
別に後で良いだろう、好見だし。下手に返信してやり取りが長引いたら面倒だ。
そうして、俺は眠りについた。



