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大家の言葉に俺は目を見開いて固まった。
は?……不審死?

「俺の部屋、事故物件って事ですか?」
「世間ではそういう言い方をする事もあるけれど、あれは事故死だ。部屋自体の損傷もほとんどない。だから告知義務は無いんだよ」
「……何言ってるんですか?」

心臓が嫌な音を立てる。
不審死でも事故なら告知義務はない?……そんな言い分が通っていいのか?

「不審死って、何が起きたんですか……?」
「それは言えない。当時の住人の守秘義務があるからね」
「ロフトで亡くなったんですか?」

ぴく、と大家の眉が不自然に動いた。ああ、正解なんだな。
大家はおもむろに俺の目の前に置いたファイルを開いた。
それは、事件の調査書だった。

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【404号室のロフトで起きた事故について】

東京都××区○○町四丁目4番4 ロフトパレス方城 404号室。

”404号室から焦げたような臭いがする”
そう伝えられた大家が合鍵で部屋に入った所、404号室のロフトで推定死後3日の腐乱死体が発見された。

死体の傍のスマホに繋がれたままの充電ケーブルが発火しており、顔に位置する部分が著しく損傷していた。
404号室の住人は事件発覚の3日前から目撃者はおらず、遺体と同様の人物と思われるが、遺体の身元は依然として不明。

司法解剖の結果、死亡日は2026年8月20日と断定された。

また、同2026年8月20日は都内を中心に大規模停電が起こっている。

・部屋が窓もドアも完全に締め切られていた。
・遺体の顔以外に、目立った外傷は無い。
・ロフトという環境は床よりも熱が籠りやすく、夏場は熱中症の危険性が高まる。

上記から察するに、熱帯夜で停電が起きた際に熱中症を発症し、対処が遅れて死に至った可能性が高い。
また、被害者の物と思われるスマホのモバイルバッテリーが発火して使用不能になった為、身元を探す事は困難である。

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「……」

俺は絶句した。
やっぱりそうじゃないか。俺の部屋のロフトで、人が1人死んでいる。
ページをめくると、次に不動産会社の人間らしい書類が同封されていた。

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【404号室について】

10月1日から11月1日までの期間、住みました。
不審死があった404号室、利用可能です。
ロフトのコンセント周りは少し焦げてますけど、問題なく使用出来ます。
ただ、時折ロフトから覗き込まれているような視線を感じます。

1点忠告を差し上げるなら、ロフトには上がらない方がよろしいかと。現場ですからね。
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ファイルの書類全てに目を通した俺は、すっと顔を上げた。
俺と目が合った大家が、長机に額が付きそうなくらい深々と頭を下げた。

「橘田さん、隠すような真似をして本当にすまなかった。まだ空いている部屋はあるから、部屋を変える手続きならする。だから――」
「404号室が事故物件って言いふらすなって?」
「そうだ。こっちにも外聞ってものがあるんでね」
「……部屋替えは一旦保留にします。このマンション、あの部屋以外結構高いじゃないですか」
「そうだね、あの部屋は一等安いから」
「今の所、事故物件の事を言いふらすつもりはありません。……その代わりと言っちゃあなんですけど――」

俺は口を開いた。
これだけは、俺が直接確かめたい。

「俺の部屋のロフトに上がるための梯子、渡してくれませんか?」