あなたとならもう一度~国の第一王子に愛されるまで~


「・・・・・こっちみんな。お前も俺をバカにしに来たのか」

真冬の猛吹雪の中、冷たい青色の瞳を持つ少年は威勢が良い。
薬草を採取していたアイルは嫌いなものを見る目で少年を見ている。

「ふざけんな!俺は・・・こんな試練くらい、なんでもない!!」

少年はふいっと横に顔を向けてほほを膨らませる。

「何も言っていないよ、私は」
「は!?顔で物語ってるんだよ!」

めんどくいさい、と思う以外の感情はない。
アイルは目的のものを優先すべく、少年をスルーして横切った。
特に気にしていない。
はずだった。

ドサッ

吹雪の中でこの音を立てるとは、倒れたようなものだ。
アイルは怪訝そうな表情で音の主をたどると、想定通り少年が倒れていた。
いつもなら、こんなことスルーしている。
だけど心のどこかで「放置できない」と感じてしまって、近寄ってみた。
幼くてかわいらしい少年だ。
こんな山奥に来るのは何か理由があるんだろう。

「手間がかかる」

大きくため息をついて、アイルは少年に魔法をかけて連れて帰ることにした。







パチ、パチ・・・
木々が焼けて崩れている音が響くアイルの自宅。
薪をくべていると少年は目を覚ました。

「ん・・・俺・・・?」
「起きたか少年。いったいなんでこんな山奥に?」
「・・・・あの、おばさん?」
「誰がおばさんだ」
「え?見た目が・・・・」

確かにアイルの服装は、大きなフードにマスク、そして全身を見せないもの。
一見わからないだろう。

「ごめん、、、」
「それより、いったい何しに?」
「何がですか?」
「は?」
「あ、僕・・・ここはどこ・・?俺?は誰だ・・??」

記憶が混雑しているみたいだ。
アイルは回復魔法をかけてみるが、少年は自分を思い出せないでいる。

「はぁ。嫌な予感はしていたんだ。めんどくさいって」
「あの・・・俺・・」
「いいよ。お前は今日からマキだ」
「マキ?」
「そうだよ。私はアイル。この国の魔女だよ」

魔女はこの国では存在しないものと言われていた。
だから信じないと思ってた。
だが無垢な少年は、それすらわからずにお礼を言う。

「ありがとう。アイル」
「生意気だな。アイル様とおよび」
「えー、なんかやだ」