「こんばんは。本日で、3本目の動画になります。前回お話しした内容についてですが、たくさんの方から多くの応援メッセージをいただき、とてもありがたく思っています。実は、あの後一歩前進しまして……」
近況報告を終えた後に、矢島のことを思い浮かべた。
「でも、その家庭教師なんですが、すごく……何というか……、取っつきにくい方で、あまり人と接してこなかった俺が接するには、ハードルが高すぎる相手でした。でも……」
脳裏に、俺も悪かったと謝られた時のことが蘇る。
あれは、何に対して謝られたのだろう。俺では分からないけれど、視聴者に聞いたら何か分かるかもしれない。
「俺ががちがちに緊張していたのを、やりづらいと言われて謝ったら、反対に謝られたんです。俺はなんで謝られたのか分からなかったんですが、皆さんはどう思いますか?よかったらコメントを下さい。もしかしたらそこに答えがあるかもしれないので」
その言葉で締めくくり、ボイスレコーダーを止めた。
friendsに投稿すると、数分後にはいいねがつき始める。
あの投稿ほど濃い内容ではなかっただろうに、一定の視聴者が出始めてくれたことがありがたかった。
いつか、自分の悩みが解決したら、今度は視聴者の悩みを解決する動画を上げてもいいかもしれない。
我ながらいい案だ、と一人頷いていると、宇宙からDMが届いた。
「動画を見ました。その家庭教師の発言、気になりますね。俺の考えでは、その人はすごく不器用な人で、思っていることを素直に口に出せずに、言ってしまった後によく後悔するような人でしょうね。その言葉はきっと、人と接してこなかった紫悠さんの状況を知りながら、思わず心にもないことを言ってしまって、後悔したから出たんでしょうね」
宇宙のメッセージですとんと納得がいった。
すごい。この人は、人間についてすごく観察眼がある人なのかもしれない。
素直に感心して、でも俺が人と接してこなかったせいで鈍いだけかもしれないとも思った。
「その通りかもしれません。いつも発見のある言葉をありがとうございます。宇宙さんは……」
また、あの質問をしようとして、逡巡した後に、別の言葉を付け足した。
「宇宙さんは、とても親切な方ですね。いつもこんなに親身にコメントをくれて。あの家庭教師の先生とは、真逆ですね」
送信した後、既読がついたまま、しばらく返信が来なかった。
理由は分からなかったが、大学生と言っていたし、何かと忙しいのだろう。
friendsを閉じると、あと三十分程で矢島が来る時間になっていた。
俺は深呼吸をして両頬を叩き、気合を入れる。
宇宙の言葉が当たっているのなら、矢島も悪い人間ではないのかもしれない。
先入観を捨て、よく観察してみよう。
近況報告を終えた後に、矢島のことを思い浮かべた。
「でも、その家庭教師なんですが、すごく……何というか……、取っつきにくい方で、あまり人と接してこなかった俺が接するには、ハードルが高すぎる相手でした。でも……」
脳裏に、俺も悪かったと謝られた時のことが蘇る。
あれは、何に対して謝られたのだろう。俺では分からないけれど、視聴者に聞いたら何か分かるかもしれない。
「俺ががちがちに緊張していたのを、やりづらいと言われて謝ったら、反対に謝られたんです。俺はなんで謝られたのか分からなかったんですが、皆さんはどう思いますか?よかったらコメントを下さい。もしかしたらそこに答えがあるかもしれないので」
その言葉で締めくくり、ボイスレコーダーを止めた。
friendsに投稿すると、数分後にはいいねがつき始める。
あの投稿ほど濃い内容ではなかっただろうに、一定の視聴者が出始めてくれたことがありがたかった。
いつか、自分の悩みが解決したら、今度は視聴者の悩みを解決する動画を上げてもいいかもしれない。
我ながらいい案だ、と一人頷いていると、宇宙からDMが届いた。
「動画を見ました。その家庭教師の発言、気になりますね。俺の考えでは、その人はすごく不器用な人で、思っていることを素直に口に出せずに、言ってしまった後によく後悔するような人でしょうね。その言葉はきっと、人と接してこなかった紫悠さんの状況を知りながら、思わず心にもないことを言ってしまって、後悔したから出たんでしょうね」
宇宙のメッセージですとんと納得がいった。
すごい。この人は、人間についてすごく観察眼がある人なのかもしれない。
素直に感心して、でも俺が人と接してこなかったせいで鈍いだけかもしれないとも思った。
「その通りかもしれません。いつも発見のある言葉をありがとうございます。宇宙さんは……」
また、あの質問をしようとして、逡巡した後に、別の言葉を付け足した。
「宇宙さんは、とても親切な方ですね。いつもこんなに親身にコメントをくれて。あの家庭教師の先生とは、真逆ですね」
送信した後、既読がついたまま、しばらく返信が来なかった。
理由は分からなかったが、大学生と言っていたし、何かと忙しいのだろう。
friendsを閉じると、あと三十分程で矢島が来る時間になっていた。
俺は深呼吸をして両頬を叩き、気合を入れる。
宇宙の言葉が当たっているのなら、矢島も悪い人間ではないのかもしれない。
先入観を捨て、よく観察してみよう。

