あなただけが教えてくれた

 コメントを投稿してからしばらく、ベッドに横になり、額に腕を当てて物思いに沈んだ。
 今から勉強を再開して、同級生に追いついたとしても、周囲に馴染んでいる自分が全く想像できなかった。
 かといって、ずっと家に籠っていたって、自分の将来は閉ざされていく一方だ。
 せめて、何かを始めないといけない。
 でも、何をすればいいか分からない。
 どんどん思考がマイナスの方向に向かっていき、止まらなくなった。
「ああ、もう」
 自分に対する苛立ちで、頭を掻きむしる。
 その時、間の抜けた通知音が響いた。
 宇宙からのメッセージだった。
 スマートフォンに飛びつき、メッセージ内容を確認する。
「動画、見ました。俺が紫悠さんの立場なら、二つの道を考えます」
「二つの、道……」
 返信をどう打とうか考えるうちに、続けてメッセージが届いた。
「その家庭教師を受け入れ、一緒に勉強するか、断って、動画で食べていくかですね」
「動画、ですか」
 その考えは思い至らなかった。新しい道が開けた気がして、少しだけ気持ちが上を向く。
「そうです。学校が全てではありません。ただ、その道を選ぶとしたら、安定した収入は得られないし、とてつもない苦労が待っています。ご家族の協力と、理解が必要です。でも、上手く説得できれば、もしかしたら運よく人気になって、それだけでやっていけるようになるかもしれません。そこまでする覚悟が紫悠さんにあれば、必ず道は開けます。でも、一つお節介で言わせてもらいますと、動画が軌道に乗るまでは何か安定した仕事をして保険をかけた方がいいです。学校は、いわばその手段として利用するんです。一番やりたいことが別にあれば、学校生活なんて一瞬で終わります。長くなりましたね。あとはゆっくり考えてみてください」
 俺は何度も宇宙のメッセージを読み返し、ありがとうございます、しっかり考えてみますと返信をして、ベッドに横になり、目を閉じた。
 考え事をするうちに夢の中まで行きかけたが、一定の間隔で通知音がし始めて目を開ける。
 何かと思えば、先ほど上げたコメントに次々とリアクションが届き続けていた。
「え、嘘……こんなに?」
 宇宙ほど深い内容ではないものの、共感や応援のメッセージばかりがいくつも並んだ。
 俺はその一つ一つを目にするうちに、力を得て、一つ覚悟を決めた。