あなただけが教えてくれた

「既読はついているけど、返信はない。当然か」
 目が覚めて、まず一番にDMを開いたけれど、宇宙からの返信はなかった。
 返信が来ると希望を持っていてはいけない。
 分かっている。
 分かっているけれど。
 割り切れない思いが渦巻いた時、スマートフォンが震える。
 矢島からのメッセージだった。
 俺は自分の気持ちが分からなかった。
 宇宙からの返信がないことを悲しむくせに、矢島からのメッセージも、思わず笑みが浮かぶほど嬉しい。
「こんなんで、いいのかな」
 久しぶりにボイスメッセージで意見を募ろうとして、思い止まる。
 自力で答えを見つけないと駄目だ。人に意見を求めたって、自分で納得しないと意味がない。
 前に進むことはできない。
「でも、どうしよう」
 溜息をつきながら、矢島から送られた内容を確認する。
「次の週末、映画に行きませんか」
「映画……」
 明らかにデートの誘いだった。嬉しいけど、素直に喜んでいいのか複雑な心境になった。
「それに、矢島さんもきっと……」
 忘れられない人がいると言っていた。俺はその人に似ているだけで、その人が目の前に現れたら、矢島は俺のことを見なくなるだろう。
「だとしても、俺にそれを悲しむ資格はないよな」
 もう一度深い溜息をつき、矢島に返信をした。
「ぜひ、行きましょう」
 楽しみにしています、と付け加えようとして、迷ううちに、送信ボタンを押していた。
 矢島からはすぐに返信が来た。
 そのメッセージの内容に、思考が停止する。
「俺は宇宙さんより好かれているって思ってもいいですか?」
 迷った末に、俺は自分でも意地が悪いと思うメッセージを返していた。
「同じこと、俺も思っていいですか?」
 矢島は既読をつけたが、返信をしなかった。
「忘れて下さい。この話はやめましょう」
 数分後に耐えられなくなって続けて送ると、矢島からはようやくこう送られてきた。
「いつか、お互いそうなることを願っています」
 俺は深く息を吸い込み、吐き出した。
「そうですね」
 本心かは自分でも分からない台詞を送り、学校へ行く支度をした。