5猿楽探偵事務所から最寄り駅にて(蟹沢奈美)
幼馴染が亡くなる7日前
「返事、来ないかぁー」
既読マークが付かないディスプレイを睨み、何本目かの電車を旋毛で見送る。困った時だけ連絡する不義理が心苦しいものの、なりふり構っていられない。ごめんなさいと念じながら空気を読まない文章を作成した。
【実は今、△△セレモニーホールの近くに居るの】
【猿楽先生は食事会があるらしくて、わたし1人なんだけど、顔だけでも見れたらいいな!】
ト、トトッと自分勝手を打ち込む指は意外とスムーズで。
【これ駅から見えた桜!】
カメラを起動し、レンズを向けた時だった。
「な、なにあの人?」
思わず声に出してしまい、両隣に立っていた人も視線を流す。
誤解を恐れずに言うと向かいのホームに不気味なコスプレイヤーが立っている。顔面を真っ白に塗りたくり、猫耳ヘアバンドを装着した姿はコスプレが珍しくない環境下でも存在感を放つ。
服装はスーツ、いや喪服? 光の加減で判断つきづらいが、黒いネクタイを握り締めている事から後者の可能性が高そうか。
「あれって◯◯じゃない?」
誰かの声でハッとした。言われてみれば◯◯と同じ耳をつけており、慌ててポケットを漁る。
鍵にぶら下げるキーホルダーとコスプレイヤーを交互に見比べ、似ても似つかないくせ特徴は捉えているのが妙に悔しい。
ご当地キャラと間違われるほど地元でしか見かけない◯◯。他の猫モチーフのキャラクターと大きく異なるのは公式が整形の事実を認め、定期的にビジュアルが変わる点だ。実際、猫耳以外のパーツはお直しされる。
(そうだ、桜じゃなく◯◯が駅に居たんですけどって送ろう! ウケるかも?)
「おいおい、ヤバいぞ! あいつ飛び込むんじゃないか?」
カメラから動画へ切り替えると同時、わたしはけたたましい警笛を浴びた。
幼馴染が亡くなる7日前
「返事、来ないかぁー」
既読マークが付かないディスプレイを睨み、何本目かの電車を旋毛で見送る。困った時だけ連絡する不義理が心苦しいものの、なりふり構っていられない。ごめんなさいと念じながら空気を読まない文章を作成した。
【実は今、△△セレモニーホールの近くに居るの】
【猿楽先生は食事会があるらしくて、わたし1人なんだけど、顔だけでも見れたらいいな!】
ト、トトッと自分勝手を打ち込む指は意外とスムーズで。
【これ駅から見えた桜!】
カメラを起動し、レンズを向けた時だった。
「な、なにあの人?」
思わず声に出してしまい、両隣に立っていた人も視線を流す。
誤解を恐れずに言うと向かいのホームに不気味なコスプレイヤーが立っている。顔面を真っ白に塗りたくり、猫耳ヘアバンドを装着した姿はコスプレが珍しくない環境下でも存在感を放つ。
服装はスーツ、いや喪服? 光の加減で判断つきづらいが、黒いネクタイを握り締めている事から後者の可能性が高そうか。
「あれって◯◯じゃない?」
誰かの声でハッとした。言われてみれば◯◯と同じ耳をつけており、慌ててポケットを漁る。
鍵にぶら下げるキーホルダーとコスプレイヤーを交互に見比べ、似ても似つかないくせ特徴は捉えているのが妙に悔しい。
ご当地キャラと間違われるほど地元でしか見かけない◯◯。他の猫モチーフのキャラクターと大きく異なるのは公式が整形の事実を認め、定期的にビジュアルが変わる点だ。実際、猫耳以外のパーツはお直しされる。
(そうだ、桜じゃなく◯◯が駅に居たんですけどって送ろう! ウケるかも?)
「おいおい、ヤバいぞ! あいつ飛び込むんじゃないか?」
カメラから動画へ切り替えると同時、わたしはけたたましい警笛を浴びた。


