◯◯家の葬儀

3猿楽探偵事務所にて(ブッシュドノエル)
 幼馴染が亡くなる10日前

 吾輩の名前はブッシュドノエル、クリスマスイブに拾われた。吾輩をブッシュと呼ぶのが飼い主の猿楽でノエルと呼ぶのがメスの金田。
 猿楽と金田は吾輩の棲家で時々交尾している。

「“とある病院で◯日に亡くなった人の葬儀は引き受けない”ね、聞いた事ないな」
「センスのない都市伝説でしょ、あの子らしい。それよりいい加減、書く気になった? 事務所設立、慰謝料支払いで家計は火の車じゃない?」
「君は原稿が欲しくて寝るタイプだった? 認識を改めなきゃいけないかも」
「逆に聞くけど、学はどういう認識で元妻を抱いてる訳?」
「セックスが無料で出来るのは有難い」
「はっ! 口説き文句も言えない男は廃業したままがお似合いだわ! 死ね、餓死しろ!」

 メスの金田が風呂場へ向かう。吾輩はシャンプーがこの世界で1番嫌いだ。
「餓死しろだって、ひどいと思わないかい? ブッシュ」
 にゃあと鳴けば猿楽は満足し、寝床から出て話を進める。猿楽はよく薄暗がりの中で月を見上げるのが、そのうち光に溶かされそう。猿楽は死にたがりの猫と似てる。

「探偵事務所、サビ猫、あとは事件とバディが揃えばいいのだけれど……」
 その時、メスの金田の汚い叫びが上がった。あぁ、ねずみを一匹仕留めておいたっけ。

「ははっ、ブッシュめ悪い顔して。もしかして君がやったの? 一生童貞な君に見せ付ける真似して悪かった」
 にゃおうと鳴くと頭を撫でようとしてくる。気配を察し、タワーの上へ避難した。

 猿楽よ、吾輩はその手が世界で2番目に嫌いなのだ。