『副級長なんて、別になりたくてなったわけじゃない』
始業式を終えた数日後。クラスの係を決めましょうという時間が設けられた。
最初は立候補を取り、次は多数決、そして最終的にくじ引きと言う流れで進み。
そのくじ引きで俺は"級長"と書かれた紙を引いてしまった。
正直、あの時は泣きそうだった。
級長だなんて経験もなければ、絶対に俺向きじゃない。今後ある色んな行事のことを考えれば変えたほうがいいに決まってる。
そんな反面、教室中は「自分が当たらなくて良かった〜」という安堵感に包まれて、担任も生徒も既にお開きムード。とても異論なんて唱えられる状況じゃなかった。
諦めの境地、「やっぱ自分が級長やってもいいですか?」と言って、肩代わりしてくれたのが"東雲修斗"だった。
東雲とは小中からの付き合いだ。
お互いの好き嫌い、得意不得意がわかるくらいには仲が良い。だから、俺が級長に向いてないと気づき肩代わりをしてくれたのだろう。
勿論、ただ肩代わりしてもらうだけでは流石に立つ瀬がなさすぎるため、"副級長"だったら出来ると立候補したわけだが……。
◇
(まあ、結局俺がやる羽目になったんだけどね)
昼休み、俺は紙袋片手に体育館裏の石段に座っていた。背後からはボールの弾む音が不規則に聞こえてくる。
『今日の昼休みはバスケ部が体育館を予約しているため、他生徒は極力立ち入らないでください』
級長からクラス中への伝言。それが俺の初仕事だ。
簡単じゃん──そう思った。
ただ教卓の前に立つと、すぐにその気持ちはなくなった。
クラス中から一気に音がなくなって、全員の視線が俺に向けられるあの感覚。
十数秒足らずの出来事にも関わらず、足はふらつき、立ってるのがやっとだった。
今も"あの日の出来事"が尾を引きずっている。本当に情けない話だ。
(やっぱやらなきゃ良かったかな、でも東雲にあんな事言った手前断るのも……)
GW突入の直前、東雲から話があると呼び出された。そして開始早々に謝罪された。
何でも父親の仕事の都合上、急遽海外で暮らさなければいけなくなったのだとか。そのせいで級長の仕事ができなくなり迷惑をかけてしまうと。
当然ショックではあった。ただそれと同時に感動している自分もいた。
言葉も文化も違う場所に行って、いつ帰れるかもわからない。そんな状況の中、わざわざ俺に直接会って謝罪する誠実さに胸を打たれたのだ。
だから俺も、その誠実さに応えたいと思って──。
『そんな事気にしなくても大丈夫だって。それよりも海外から帰ってきたら俺の成長にビックリするなよ?』
なんて、声をかけたっけ。
始業式を終えた数日後。クラスの係を決めましょうという時間が設けられた。
最初は立候補を取り、次は多数決、そして最終的にくじ引きと言う流れで進み。
そのくじ引きで俺は"級長"と書かれた紙を引いてしまった。
正直、あの時は泣きそうだった。
級長だなんて経験もなければ、絶対に俺向きじゃない。今後ある色んな行事のことを考えれば変えたほうがいいに決まってる。
そんな反面、教室中は「自分が当たらなくて良かった〜」という安堵感に包まれて、担任も生徒も既にお開きムード。とても異論なんて唱えられる状況じゃなかった。
諦めの境地、「やっぱ自分が級長やってもいいですか?」と言って、肩代わりしてくれたのが"東雲修斗"だった。
東雲とは小中からの付き合いだ。
お互いの好き嫌い、得意不得意がわかるくらいには仲が良い。だから、俺が級長に向いてないと気づき肩代わりをしてくれたのだろう。
勿論、ただ肩代わりしてもらうだけでは流石に立つ瀬がなさすぎるため、"副級長"だったら出来ると立候補したわけだが……。
◇
(まあ、結局俺がやる羽目になったんだけどね)
昼休み、俺は紙袋片手に体育館裏の石段に座っていた。背後からはボールの弾む音が不規則に聞こえてくる。
『今日の昼休みはバスケ部が体育館を予約しているため、他生徒は極力立ち入らないでください』
級長からクラス中への伝言。それが俺の初仕事だ。
簡単じゃん──そう思った。
ただ教卓の前に立つと、すぐにその気持ちはなくなった。
クラス中から一気に音がなくなって、全員の視線が俺に向けられるあの感覚。
十数秒足らずの出来事にも関わらず、足はふらつき、立ってるのがやっとだった。
今も"あの日の出来事"が尾を引きずっている。本当に情けない話だ。
(やっぱやらなきゃ良かったかな、でも東雲にあんな事言った手前断るのも……)
GW突入の直前、東雲から話があると呼び出された。そして開始早々に謝罪された。
何でも父親の仕事の都合上、急遽海外で暮らさなければいけなくなったのだとか。そのせいで級長の仕事ができなくなり迷惑をかけてしまうと。
当然ショックではあった。ただそれと同時に感動している自分もいた。
言葉も文化も違う場所に行って、いつ帰れるかもわからない。そんな状況の中、わざわざ俺に直接会って謝罪する誠実さに胸を打たれたのだ。
だから俺も、その誠実さに応えたいと思って──。
『そんな事気にしなくても大丈夫だって。それよりも海外から帰ってきたら俺の成長にビックリするなよ?』
なんて、声をかけたっけ。
