羽化する背中に、消えない光を編んでいく

「返せよっ! これは……奏斗が僕の為に作ってくれた服なんだっ!」
 僕の人生で、これほどまでに声を荒げた事はあっただろうか。
 そんなことを考える余地もなく、奪われた宝物を必死で取り返そうとしていた。
 
 奏斗の夢が詰まった服。
 コンテストで僕が着る、特別な一着。
 今度は僕が、この服で彼をもっと高く羽ばたかせるんだ。
 だから、絶対に渡したくなかった。
 手を放したくなかった。
 なのに、次に聞こえてきた音と感触に、僕は一気に血の気が引いた。

 ──ビリッ!!──
 
 手が震え、頭が真っ白になる。
 せっかくここまで来たのに、僕が奏斗の夢を壊してしまった。
 教室の隅で空気みたいに過ごしてきた僕を、外の世界へ引っ張り出してくれた人。
 あの日、彼と出会った瞬間から、僕の人生は変わっていったんだ──。