ルーズさが売りの俺が、生真面目クラスメイトに懐かれています


 別に報告する義理はなかったのだが、度会にはちょこちょこ放課後の予定を訪ねられていたこともあって、普通に「頑張れ」で終わった。
 一方の、俺たち三組のクラスメイトは、五十嵐の練習方針に対して、結構辛辣だった。

「てかさー、別に五十嵐に言われたとおりにしなくてよくね?」
「え」
「俺ら別に、そんなガチじゃないし」
「確かに」
「いや」

 それはどうなんだ。
 いや、ガチになる必要がないのはわかる。俺だって、最初は五十嵐の発言にむっとした。
 彼らの言い分もわかるけど、それはなんか、違う気がする。

 てか、モヤモヤする。

「あんだけ体できてる五十嵐が言うんだから、俺らがやらねーとマジで怪我するだろ。やるぞ」
「んだよ、宇田」
「まあまあ。宇田の意見もわかるけど、今日はやめとくってことで。次ちゃんとやるから」
「……わかった。五十嵐には言っとく」
「たすかるー。じゃ、また」

 すれ違った瞬間に聞こえたのは、きっと舌打ちだろう。
 俺だって、そんなつもりじゃなかった。

 ただ、アイツの変な顔は、見たくなかった。
 それだけのために、俺は放課後、五十嵐と待ち合わせている体育館前の廊下に向かっていった。

 クラスメイトのぞんざいな反応のことを考えていたせいか、放課後、五十嵐に会って早々に「どうした」と言われるハメになった。

「……宇田将也」

 少し低くて、ゆっくりしていて、探ってくるような声色に、俺は思わずため息をついて、めいっぱい吸い込んで、言った。

「おう! やるぞ!」
「なにかあったか」
「ねーよ。腹の調子も万全ってアピール」
「……ならいいが」

 それ以上、聞きたくなかったし、詮索もされたくなかった。
 早く体を動かして、五十嵐のこの純粋さを浴びたい。
 なんとなく、そう思った。