お前を好きだなんて言ってない!

ドンッ
「痛っ!?」
誰かとぶつかってしまったようだ。その拍子に教科書がバサバサッと落ちてしまった。
もう少しで卒業できるからなるべく人と接さずに平穏に過ごすはずだったのに。
「ごめん、、、大丈夫?」
は?
俺の顔を覗き込んでいるこの男は不思議そうに整った顔をこてんと傾げている。
最悪だ。よりにもよって一軍男子の宮本澄空(みやもとすみか)と接点を持ってしまうなんて。ファンクラブの女子に殺されてしまう。
「俺は大丈夫です。あなたは大丈夫ですかミヤモトクン」
「なんでそんな俺の名前カタコトなの?笑」
肩を震わせながら宮本澄空は笑っている。そんな笑うところあったか?
「ていうか君と俺同じ学年だよね?なんで敬語?」
俺は宮本澄空のこういうところが嫌いだ。誰にでも馴れ馴れしいThe陽キャな性格。
「いえ、俺と宮本くんは初対面なので敬語が当たり前でしょう?」
内心イライラが収まらない。顔を見ただけでイラついてくる。
トンッ
「え?」
「ここ、しわ寄ってる」
どうやら内心のイライラが顔に出てしまっていたらしい。やってしまった。当の本人は興味深そうにこちらを見てくる。
「あの俺もう行くんで」
ササッと教科書を拾い上げて俺は校舎に続く渡り廊下を急いで走った。まずい、絶対に目をつけられた。
「おーい?君教科書それ違うよー?」
後ろから聞こえる声に気づかず俺は次の授業に向かった。