高校2年の春、通学電車の先頭車両。会社へ出勤するサラリーマンや他校の生徒達でごった返す車内の景色は1年生の頃から変わらない。高校の最寄駅まではワイヤレスイヤホンで音楽を聴くのが藤浪透の日課だった。
透は冗談抜きでこの車内にいる誰より平凡であると自負していたが、唯一特筆すべき事があった。それは〝恋愛対象が同性である〟こと。ただ透はあまり恋愛体質では無かったためそのことについて周囲の人間も何より自分自身が気にする事は無かった。
透がふと顔を上げた直後、全身に雷が落ちた様な衝撃が走った。目線の先には羽毛みたいなふわふわっとしたパーマがかった茶髪、クリクリした猫の様な目、そして表情や全身から伝わるあどけなさ。透は目線の先の少年に一瞬にして目を奪われ、そして……
「めっっっっちゃ、タイプ……」
恋に落ちたのだった。
それから毎日先頭車両で見かける少年を観察するのが透の日課となった。毎日少年を見守っているといろんな発見があった。
着ている制服は透の通う高校と同じ制服である事、毎週水曜日は寝坊するのがいつも寝癖がついている事、そして同じ駅から通う同級生はいないのか、いつも1人で登校している事。
気が付けば透の頭の中は少年の事でいっぱいになっていた。ただ、それと同時に自分から少年への接触は避け、いつまでも見守る〝傍観者〟に徹しようという気持ちも大きくなっていった。何故ならば、きっと少年は異性の事が好きで透が好意を持って近づいてしまう事で彼を傷付けるかも知れないという恐怖のほうが透が少年に対して抱いた恋心を上回ってしまっているからだ。
高望みはしない。ただ遠くからそっと少年を見守る傍観者でいる。それだけで透は幸せなはず、だったのに……
透は冗談抜きでこの車内にいる誰より平凡であると自負していたが、唯一特筆すべき事があった。それは〝恋愛対象が同性である〟こと。ただ透はあまり恋愛体質では無かったためそのことについて周囲の人間も何より自分自身が気にする事は無かった。
透がふと顔を上げた直後、全身に雷が落ちた様な衝撃が走った。目線の先には羽毛みたいなふわふわっとしたパーマがかった茶髪、クリクリした猫の様な目、そして表情や全身から伝わるあどけなさ。透は目線の先の少年に一瞬にして目を奪われ、そして……
「めっっっっちゃ、タイプ……」
恋に落ちたのだった。
それから毎日先頭車両で見かける少年を観察するのが透の日課となった。毎日少年を見守っているといろんな発見があった。
着ている制服は透の通う高校と同じ制服である事、毎週水曜日は寝坊するのがいつも寝癖がついている事、そして同じ駅から通う同級生はいないのか、いつも1人で登校している事。
気が付けば透の頭の中は少年の事でいっぱいになっていた。ただ、それと同時に自分から少年への接触は避け、いつまでも見守る〝傍観者〟に徹しようという気持ちも大きくなっていった。何故ならば、きっと少年は異性の事が好きで透が好意を持って近づいてしまう事で彼を傷付けるかも知れないという恐怖のほうが透が少年に対して抱いた恋心を上回ってしまっているからだ。
高望みはしない。ただ遠くからそっと少年を見守る傍観者でいる。それだけで透は幸せなはず、だったのに……
