「宮野さん、ここの振り付けこういうのはどうかな?」
「宮野さん、これって私達どっちに移動しながらするの?」
(…忙しすぎる。)
あの日以来、クラスのみんなは私達クラス委員の話をしっかり聞いて加えて提案してきてくれたりする。
私も奏くんも、忙しいけれど充実した学校生活を送っている。
「みんなやる気になってきてるね。」
隣に立つ奏くんが少し口角をあげながら話しかけてくる。
「うん。最初はどうなるか心配だったけど、みんな楽しそうでいいよね。」私はタブレット内に映るダンス動画を見ていた視線を、意見を言い合うみんなの方へと向けた。
視線の先に映るみんなの表情は初日とは大違いで、とても明るい。
「全部、積極的に話してくれる萌音のおかげだよ。」
隣から聞こえてくる凛とした奏くんの声を聞いた瞬間、胸の奥がきゅっと音を立てた気がした。
「そんなこと……」(あるわけない)
そう続けようとした口を噤んで考え直す。
(私、ちゃんとできてるのかな。)
最初は、人前で話すのが怖くて。
意見がぶつかるたびに、どうしていいかわからなくて。
それでも——
みんなが私の言葉を待っている。
それに気づいたのは、つい最近だった。
「……ありがとう。」
小さくそう言うと、奏くんは少しだけ驚いた顔をしてから、
「うん。」と短く頷いた。
その横顔が、なんだか前よりも近く感じた。
