いつかきっともう一度





「あれっ?!
萌音ちゃん?!!」


私が席で本を読んでいると聞きなれた声で、パッと書面から目を外す。

「美倉ちゃんっ!!」

そこに立っていたのは中学2年で同じクラスになったのをきっかけに仲良くしている天堂てんどう 三倉みくるちゃんがいた。

中学の頃はツインテールの黒髪ロングだったのに…

目の前にいる三倉ちゃんは、髪を染めたのか茶髪のボブになっていた。


「高校デビューしたいと思って髪切っちゃった…!」



私が驚いて質問する前に、はにかみながら三倉ちゃんから答えが返ってきた。


「似合ってるかな?…」


私からの感想を聞いてくる三倉ちゃんは、中学生の頃からいっそう可愛らしくなっていた。

私達が話している方を見て教室にいる男の子たちが、ひそひそと話している。

(みんな、三倉ちゃんの話をしているんだろうな…)


目の前にいる三倉ちゃんは、元から顔立ちが整っていて、髪を切ったことでもっと顔がはっきり見えるようになっていた。


毛先を緩く巻いているのか、まるでリスのような可愛らしさが目を引く。


「めっちゃ可愛くなってびっくりしちゃった…」


そう言うと、目の前の三倉ちゃんは顔を赤く染めながら照れ笑いを浮かべた。

(…本当に可愛い。
 きっと、こういう子がたくさんの人を笑顔にさせられるんだろうな…)



☆*〜〜〜〜〜〜〜〜✴︎⭐︎

「なぁ、あの子達可愛くね?!」

そう話してきているのは、小学校から仲のいいユッキーこと、永井幸也ながい ゆきやだ。

幸也の視線の先には、今朝少し話した宮野 萌音と、宮野さんと仲がいいのかもう1人の女子がいる。

「どっちの子がタイプ?
俺はボブの子かなー。」

普段は、幸也のそんな発言にいちいち反応しないが、
なぜか今回は幸也の言葉に耳をすましている自分いた。


幸也が話しているのが"もう1人の方"とわかるとなぜか、ほっとしている自分がいる。

(なんでこんなに気になってるんだ…)


今日初めて会った彼女は、どこか安心できる雰囲気を放っていた。

高校初日だからと、一応早めに家を出て乗った電車で
なんとなく参考書を読んでいると、どこからか聞き慣れたピアノの音色が聞こえてきた。

ふと目線を上げた先には同じ高校の制服を着た彼女がいて、、頬と耳を真っ赤に染めた顔の彼女にはその時はただ"同じ高校の人"ということしか思わなかった。

駅から降り、学校へ向かう彼女はスマホを手に、
どこか不安そうな顔をしながら道を進んでいた。

(方向がわかってないのか?)


そんな彼女を少し離れた場所から見ているとスマホを手元で回転させながら明らかに方向を見失っていた。

そんな姿を見て笑いが込み上げてきた時、
いつのまにか俺は彼女に話しかけていた。

声をかけた先の彼女は、俺を見て怪しんだ顔をしながらも、目の前にいる相手へ丁寧に道を聞いてきた。

そんな彼女に堪えていた笑みをこぼしながら、
一緒学校に行こうと誘った。

いつもは1人で歩くのが好きなせいか、
誰かと歩くのは新鮮に感じた。

後ろからついてくる彼女が、しっかりとついてくるのを
確認しながら歩いていると彼女がふと名前を聞いてきた。

そんな彼女に自分の名前を言うと、数秒間俺の顔を見つめてきた。

誰かに真正面からまじまじと顔を見つめられることになれていないからか、慌てて彼女の名前を聞いた。

彼女は我に帰ったのか少し慌てた様子で自分の名前を言った。

「私は、宮野 萌音です。」


━彼女の名前は、俺の大切な人と同じ名前だったんだ。