海神皇はその問いには答えず、パチンと指を鳴らした。
「――亀助」
「はい、ただ今!」
海神皇の呼びかけに答え、海から水しぶきを上げて現れたのは、巨大な緑色の海亀だった。
「この娘を城に住まわせる。部屋を用意しろ」
「は、はい。……ですが、恐れ入りますが海神皇様、このかたはどなたです?」
亀助が怪訝そうな顔で珊瑚を見やる。
海神皇は眉一つ動かさずに、冷たい口調で言った。
「――俺の嫁だ」
(よ……嫁……!?)
「もらい受ける」とはそういう意味だったのか。
思いもしなかった展開に、珊瑚があ然としていると、亀助は恐縮したように頭を下げた。
「は、はいっ……さ様でしたか。いつのまに……」
「城への報告はこれからする」
海神皇はそっけない口調で言うと、白く光る象牙のような手を珊瑚へ差し伸べた。
「さ、行こう」
珊瑚が戸惑っていると、海神皇は冷たい瞳のまま珊瑚を見つめた。
「……それとも嫌か? 俺の嫁になるのが」
「い……いえっ、滅相もありません!」
珊瑚は首を横に振った。
元々、好きでもない村長の嫁になる予定だったのだ。
今さらその相手が海神皇に変わったところで、珊瑚には異論などあるはずもなかった。
「よ、よろしくお願いいたします……」
珊瑚はわけも分からぬまま海神皇の手を取った。
その手はとても冷たく――だがどういうわけか、母なる海のように落ち着く感触がしたのだった。
「――亀助」
「はい、ただ今!」
海神皇の呼びかけに答え、海から水しぶきを上げて現れたのは、巨大な緑色の海亀だった。
「この娘を城に住まわせる。部屋を用意しろ」
「は、はい。……ですが、恐れ入りますが海神皇様、このかたはどなたです?」
亀助が怪訝そうな顔で珊瑚を見やる。
海神皇は眉一つ動かさずに、冷たい口調で言った。
「――俺の嫁だ」
(よ……嫁……!?)
「もらい受ける」とはそういう意味だったのか。
思いもしなかった展開に、珊瑚があ然としていると、亀助は恐縮したように頭を下げた。
「は、はいっ……さ様でしたか。いつのまに……」
「城への報告はこれからする」
海神皇はそっけない口調で言うと、白く光る象牙のような手を珊瑚へ差し伸べた。
「さ、行こう」
珊瑚が戸惑っていると、海神皇は冷たい瞳のまま珊瑚を見つめた。
「……それとも嫌か? 俺の嫁になるのが」
「い……いえっ、滅相もありません!」
珊瑚は首を横に振った。
元々、好きでもない村長の嫁になる予定だったのだ。
今さらその相手が海神皇に変わったところで、珊瑚には異論などあるはずもなかった。
「よ、よろしくお願いいたします……」
珊瑚はわけも分からぬまま海神皇の手を取った。
その手はとても冷たく――だがどういうわけか、母なる海のように落ち着く感触がしたのだった。



