この人が自分の母親か親戚かもしれない。
珊瑚が信じられない気持ちで肖像画を見つめていると、玉姫はクスリと笑った。
「だから私、海神皇があなたを連れて来た時にピンと来たのよ。この子は真珠様の代わりだってね。良かったわね、初恋の人に似ているおかげで見初められて。海神皇の心の中にはいつも真珠様がいるんですもの」
玉姫は珊瑚を哀れむような目で見ると、勝ち誇ったようにくすくすと笑った。
だが珊瑚は玉姫の思惑とは異なり、ただ黙ってじっと肖像画を見つめているだけだった。
「そう……なんですね」
別にかまわない。珊瑚はそう思った。
元はと言えば、村長に食べられるところだったのを、命が助かっただけでもありがたいのだ。
(命が助かっただけでもありがたいし、ここにいれば美味しいご飯も、ふかふかのおふとんもあるのだから、それ以上を望むのは贅沢すぎるわ)
だけど――なぜだか分からないのだけれど、珊瑚の心の中に冷たくて寂しい風が一筋吹いた気がした。



