冷徹な海神は人魚姫に心の氷を溶かされる

「うふふ、正確にはここを私の城と繋げてもらっているの。そのほうが移動に便利だしね」
 どうやら、神の力で空間を捻じ曲げ、この城と玉姫の城を繋げているらしい。
「さ、行きましょ」

 珊瑚が玉姫の後をついて戸の中に入ると、白い光が溢れ、いつの間にか二人は黒い大理石の光る大広間に立っていた。
「うわあ……!」
「ふふ、驚いたようね。さ、こっちよ」
 玉姫に案内され、珊瑚は洋風の応接間にやって来た。
「そこに座って良いわよ」
 珊瑚は玉姫に薦められ、目の前にある薔薇柄のソファーに腰かけた。
 フカフカのソファーに真っ赤な絨毯、天井に光るシャンデリア。
 そのどれも、狭い村で育った珊瑚には見たことのないものばかりで、珊瑚はあんぐりと口を開けて部屋に見入ってしまった。
「す……凄い。まるで西洋のお屋敷みたいですね……」
「うふふ、私の趣味でね、西洋風のものを集めているの」
 玉姫は目を細めて笑うと、奥の部屋から金色の額縁に収められた絵を手にやって来た。
「それでね、あなたにはこれを見てほしいの」
「これは……」
 それは、まるで写真のように克明に描かれた肖像画だった。
 幼い玉姫と海神皇、それに薄桃色の髪をした若く美しい女性が写っている。