十二神というのは、この世界の海を統べる十二人の海神のことだ。
海神皇や亀子が言うには、この世界にはたくさんの神様がいて、海を司る神もたくさんいるのだそうだ。
今日はそんな十二人の神様たちが月に一度の定例会を行う日。
それに合わせて、海神皇は珊瑚のことを自分の妻として他の神々に紹介するつもりなのだという。
「そんなに緊張することはありませんよ。海神皇様は、十二人の中でも唯一『皇』の称号を持つ位の高い神。誰も結婚に反対などしません」
亀子があっけらかんと笑いながら教えてくれる。
聞くところによると、海神皇は海の最高権力者で、結婚に際して本来ならば他の者の承認などいらないのだという。
だが一応、結婚の前に他の神々に相手を紹介するのが慣例でもあるし、仲間に祝福されたほうがいいだろうとのことで珊瑚も会議に参加することとなったのだった。
「そうなんですね。海神皇様って、本当に偉い人なんですね……でもそんな凄いかた、私には釣り合わないんじゃ――」
珊瑚が委縮して下を向くと、亀子が螺鈿細工に金の装飾を施した大きな鏡を手渡した。
「そんなことありませんよ。珊瑚様はとても美しゅうございます。旦那様が見初めるのも無理はありません。とってもお似合いにございますよ」
亀子に熱心な口調でそう言われ、珊瑚は鏡を見た。



