冷徹な海神は人魚姫に心の氷を溶かされる

 珊瑚はひとしきり色とりどりの魚たちが泳ぐのを見つめた後、海神皇の顔を見つめた。
「あの……素敵なお部屋ですけど、本当にここに住んで良いのですか?」
「ああ。お前にはしばらくここに住んでもらう」
「……はいっ。ありがとうございます!」
 珊瑚が目を輝かせながら部屋の中を見回し、あちこちの扉や引き出しを開けていると海神皇は頬をほころばせて笑った。
「気に入ったか。俺の妻の部屋にしては随分と手狭だが」
「それでも、前に住んでいたおうちよりずっと広いし、海の景色も素敵ですっ……!」
 大輪の花が開くようにふわり笑う珊瑚。

 満面の笑みを浮かべる珊瑚に、海神皇は少し悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「そうか。では俺も今日はこの部屋で寝ようか」
「え」
 海神皇の言葉に、珊瑚は顔を真っ赤にし、かちんこちんに固まった。
 (そ……そっか。私たち、夫婦になるのでした……と言うことはつまり、心室を共に……)
「え……えと……っ……」
 あまりの恥ずかしさに、珊瑚が涙目になりながら全身を真っ赤にして身を震わせていると、海神皇はぷっと吹き出して笑った。
「冗談だ。まだ祝言も上げていないし、こんな狭い部屋では寝れないよ」
「そ……そうですよねっ……!」
 珊瑚がホッと胸を撫でおろしていると、海神皇はポンポンと珊瑚の頭を撫でた。
「いずれ……な」
「は……はい」