特別の、その先

 十一月十五日の日曜日、高槻の十六回目の誕生日。木枯らしが吹いていて寒いけど、天気は快晴、お出かけ日和。俺たちは改札前で待ち合わせをした。
 約束の十分前に到着し、改札を出ると、もう高槻の姿があった。黒のタートルネックのニットに、淡いブルーのゆるいデニムを履いている。やっぱり高槻はかっこいい。何を着ても似合う。俺は、白Tにチャコールのカーディガンを羽織り、グレーのゆったりしたパンツを履いてきた。以前、学校帰りに一緒に買い物に行って高槻に見立ててもらった服装だ。
 高槻の元へゆっくり歩み寄っていくと、すぐに気づいて、こちらに駆けよってきた。

 「浅見、おはよ」
 「おはよう」
 「服、似合ってるね。かわいい」
 「……かわいくはないけど、高槻に選んでもらったやつめっちゃいい。ありがと」

 高槻は満足げに笑ってから、「いこうか」と歩き出した。

 「今日、冷えるね」

 高槻は寒そうに手で腕をさすっている。

 「うん、そろそろマフラーとか手袋の出番だな」
 「あ、じゃあさ、今日いいのあったら買おうよ。俺、また浅見に選びたい。なんなら、俺が買ってあげたい」
 「なに言ってんだよ。誕生日だろ。高槻が祝われる側だから」
 「あ、そうか」

 口を開けば、俺のことを気遣ってばかりで。こいつの世界は俺を中心に回ってるんじゃないかと思うくらいずっと俺をみている。こんなんで大丈夫かと、時々心配になる。こいつが自分を顧みない分、俺が高槻を大切にしたい。
 そこでやっと、一番大事なことを言っていないと気づいて、高槻にじっと視線を送る。それに気づいた高槻は、ん?と口角を上げた。

 「誕生日、おめでとうございます」
 「あ、ありがとうございます」

 軽く頭を下げると、高槻も慌ててぺこりと頭を下げた。そして、二人で顔を見合わせて笑い合う。

 「あのさ、手、つないでいい?」

 さっきから、歩くたびに高槻の指先が俺の指先をかすめていく。偶然当たっているだけかと思っていたけど、タイミングをうかがっていたのかも。そう思うと、愛おしくてかわいい。

 「……うん、つなぐ?」
 「うん、つなぐ」

 少し照れくさくて、おずおずと手を差し出すと高槻の手が上から重なった。

 「へへっ」

 とっても幸せそうに顔をゆるめている。そうしてしばらく歩いていると、指が絡んで、いつの間にか恋人つなぎになっていた。寒いと思っていたのに、手のひらだけが熱いくらいあたたかい。