特別の、その先

 とりあえず、学校帰りに駅の近くにある大型ショッピングモールにやってきた。ここならいろんな店があるし、高槻へのプレゼントがみつかるはず。

 まず、一番近くにあった文具屋にいってみた。一番よく使うのは筆記用具だ。ペン類の陳列棚にいくと、シャープペンだけでもなん十種類あり、目移りしてしまう。消しゴム、定規、ペンケースなど、他の物もみてみたけど、パッとしない。奥の方にガラスケースがあり、中をのぞくと万年筆が入っていた。外国製のもので、木でできたものやカーボン素材のものなんかもあった。

 「うわぁ、かっこいいかも……」

 値段をみるとーー

 「……じゅ、じゅうまんえん!?」

 早々に諦めて、店を出た。

 次に向かったのは、香水の店。たくさんのいろんな形の瓶が並んでいて、その前にテスターと書いてある細長い紙が置かれていた。

 (いい匂いがする……)

 初めて入ったので勝手がわからなかったが、とりあえず他のお客さんの様子をみながら、細長い紙を鼻に近づけて嗅いでみた。

 (柑橘系の匂いがする。こっちはせっけんの香り、これもいいな。あ、ムスクの香りか……甘い感じだ)

 いろんな香水を嗅いでいるうちに鼻が麻痺してなにがなんだかわからなくなってきた。

 (高槻のイメージだと、これかなぁ? サンダルウッド? あ、これ線香の匂いだ……)

 さすがに線香はまずいと思って店から出た。

 次はファンシーショップ。かわいい雑貨がたくさんあって、高槻とは縁遠そうだけど、一応店に入ってみた。早速目についたのはーー

 「又三郎!!」

 法被を着て、ふんどしを履いているトラネコのマスコットキーホルダー、俺がカバンにつけているものと全く同じものが売られていた。高槻が必死になってクレーンゲームで取ってくれたものだ。二人の思い出のキャラクターだ。どことなく高槻に似ていて、粋でかっこいい。

 「これにしよ」

 俺は又三郎を一匹手に取り、レジに持って行って会計をした。プレゼント用にラッピングしてもらい、それをそっとカバンに入れる。プレゼントも決まり、軽い足取りで帰っていると、カバン屋や時計屋、靴屋やアクセサリー屋などの店が目に入り、マスコットキーホルダーは子供っぽかったかもとまたぐるぐる悩み始めた。

 休憩がてらベンチに腰をおろし、スマホを取り出す。ふと、田辺の言葉が頭を過る。

 『キスでもなんでもしてあげたらよろこぶんじゃね?』

 (高槻が一番よろこぶのって……やっぱ、これなのか?)

 俺が高槻にキスをする姿を想像してみたけどーー

 (~~~~っ!! やっぱ無理!!)

 恥ずかしすぎて思考停止した。