特別の、その先

 「高槻の誕生日プレゼント?」
 「うん、なにがいいと思う?」

 昼休み、高槻がいないタイミングで田辺に相談してみた。田辺はスマホをいじっていた指を止め、宙を見てう~んと考えている。

 「本人に聞いてみれば?」
 「聞いてみたんだけどーー」

 直接聞くのは照れくさかったから、交換ノートで聞いてみた。

 高槻へ
 もうすぐ誕生日だけど、なにか欲しいものある?

 浅見へ
 気を遣わなくていいよ。俺は浅見と一緒に過ごせればそれで幸せだから。

 「ーーって、返ってきて……」
 「だったら、それでいいんじゃね? 二人で出かけるとか、家でゆっくり過ごすとか」
 「でもさ、やっぱりプレゼントはわたしたいじゃん」
 「浅見が準備したものなら、なんでもよろこぶだろ」
 「いや、そうかもしれないけど……」

 頭を抱える俺を、少々面倒くさそうにみている田辺。突然、あ、と声を上げたので、驚いて田辺を見る。

 「高槻が一番欲しいもの、俺わかった」
 「え!? なになに??」

 田辺はにやりと口角を上げて、俺を指さした。

 「浅見だよ。高槻が一番欲しいものは、浅見」

 田辺の言葉に、困惑して眉をひそめる。

 「俺?」
 「キスでもなんでもしてあげたらよろこぶんじゃね?」

 飽きてきたのか、スマホに向き直る田辺。高槻はそんな単純な奴じゃない、と言いかけて言葉を飲み込んだ。触れるだけのキスは何度かしたけど、それは全部「キスしていい?」と高槻から聞かれてしている。俺からキスはしたことがない。

 (よろこぶ、のか??……いやー、ハードル高いぞ……)

 また頭を抱える俺に、田辺は呆れてため息をついた。