遊びの誘いを断るのは簡単なのに、後夜祭の誘いを断るのは簡単じゃない。宮崎さんの真剣な想いを、ちゃんと受け止めてから断るのはエネルギーがいる。断られた宮崎さんの方が、何倍もしんどいだろうけど。
ふらふらとした足取りで教室に戻ると、田辺はいたが浅見の姿が見えない。
「……浅見は?」
田辺は呆れたようにため息をつく。
「お前さ、それしか聞けねぇの?」
「いや、体調悪そうだったから心配でーー」
田辺と話している途中で、浅見が教室に戻ってきた。
「あ、浅見! どこ行ってたんだよ」
駆け寄っていく。やっぱり少し顔色が悪そうだ。
「えっと、ちょっとトイレに」
「なんか顔色悪くない? 大丈夫?」
「……うん、大丈夫。これ、切ればいいの?」
浅見は段ボールとカッターを手に教室の隅に行ってしまった。俺も行こうとしたけれど、田辺に止められた。
「今はしんどそうだから、一人にしてやったら?」
「……そう、だな」
伸ばしかけた手を引っ込める。田辺の顔を見ると、なにか察しているようだったので、田辺の言うとおりにした。それでもやっぱり心配だから、田辺と作業しながら、遠目から時々浅見の様子をうかがう。ふと、顔を上げた浅見と目が合ったけど、すぐに逸らされてしまった。
(相当しんどそうだな。今日はもう先に帰らせた方がいいかも)
そう思って声をかけに行こうとしたら、浅見が自分の手を見ながら固まっていた。その指から、真っ赤な血がしたたり落ちている。
「え、ちょ、浅見!」
俺は驚いて浅見に駆け寄る。
「血、出てるぞ」
慌ててポケットからティッシュを取り出して、指の血を拭った。
「保健室行こ」
顔をのぞき込むと、ぼんやりとうつろな目をしていた。
「行ってくるから、高槻は作業の続きしてろよ」
「付き添うよ。ぼんやりしてて心配だし」
「大丈夫だって。高槻はリーダーなんだから教室にいなきゃ」
「でもーー」
無理やりにでも付き添おうとしたけど、頑なに断られて、浅見はさっさと教室を出て行った。
「やばいな……」
様子をみていた田辺がぼそりと呟いたので、俺は教室を出て浅見の後を追った。
ふらふらとした足取りで教室に戻ると、田辺はいたが浅見の姿が見えない。
「……浅見は?」
田辺は呆れたようにため息をつく。
「お前さ、それしか聞けねぇの?」
「いや、体調悪そうだったから心配でーー」
田辺と話している途中で、浅見が教室に戻ってきた。
「あ、浅見! どこ行ってたんだよ」
駆け寄っていく。やっぱり少し顔色が悪そうだ。
「えっと、ちょっとトイレに」
「なんか顔色悪くない? 大丈夫?」
「……うん、大丈夫。これ、切ればいいの?」
浅見は段ボールとカッターを手に教室の隅に行ってしまった。俺も行こうとしたけれど、田辺に止められた。
「今はしんどそうだから、一人にしてやったら?」
「……そう、だな」
伸ばしかけた手を引っ込める。田辺の顔を見ると、なにか察しているようだったので、田辺の言うとおりにした。それでもやっぱり心配だから、田辺と作業しながら、遠目から時々浅見の様子をうかがう。ふと、顔を上げた浅見と目が合ったけど、すぐに逸らされてしまった。
(相当しんどそうだな。今日はもう先に帰らせた方がいいかも)
そう思って声をかけに行こうとしたら、浅見が自分の手を見ながら固まっていた。その指から、真っ赤な血がしたたり落ちている。
「え、ちょ、浅見!」
俺は驚いて浅見に駆け寄る。
「血、出てるぞ」
慌ててポケットからティッシュを取り出して、指の血を拭った。
「保健室行こ」
顔をのぞき込むと、ぼんやりとうつろな目をしていた。
「行ってくるから、高槻は作業の続きしてろよ」
「付き添うよ。ぼんやりしてて心配だし」
「大丈夫だって。高槻はリーダーなんだから教室にいなきゃ」
「でもーー」
無理やりにでも付き添おうとしたけど、頑なに断られて、浅見はさっさと教室を出て行った。
「やばいな……」
様子をみていた田辺がぼそりと呟いたので、俺は教室を出て浅見の後を追った。



