特別の、その先

 高槻へ
 久しぶりに非常階段で話せてよかった。
 今日はありがとう。


 浅見へ
 俺も話せてうれしかったよ。
 またいつでも誘って。俺も誘うし。


 クラス委員が前に出て、文化祭での催し物の案を募っている。催し物と言っても、1年は展示と決まっているからなにかしらテーマを決めなくてはいけない。

 「なんとかカフェとかたこ焼きとか焼きそばとか、そういうのやりたかった」

 田辺が後ろを向いてぼそりと話しかけてきた。

 「え、意外。だるいからやりたくないって言いそうなのに」
 「そう? 俺、イベントとかけっこうすきなんだけど」
 
 そういえば体育祭の時、張り切って応援してた気がする。普段、だるそうにしてるのに、意外と熱いんだなって驚いた。

 「今もけっこうワクワクしてんだけど」
 「いや、普通に眠そうだけど……」

 顔には出ないけど内心めっちゃ楽しみにしてんだろうなって思ったら、なんか田辺がかわいくみえてきた。
 なかなかいい案が出ず、クラス委員が困り果て、クラスメイトがだれてきたころーー

 「……あ、あのっ、すみません」

 普段おとなしくて目立たない女子・宮崎さんがおずおずと遠慮がちに手を挙げた。

 「あ、宮崎さん、どうぞ」

 クラス委員の青山は、救世主が降臨したと目を輝かせて、仰ぐように宮崎さんに意見を求めた。

 「えっと、手作りの大きなプラネタリウムとかどうでしょうか?……小さい頃、家で簡単なプラネタリウムを作ったことがあるんですけど、かまくらみたいな形で、人が入れるくらい大きくて、中に入ると正座が見える。教室は真っ暗にして、ところどころに間接照明とか置いて……」

 (こんなこと思いつくのすご……)

 だれていたクラスメイト達が顔を上げ始めた。

 「いいんじゃね?」
 「雰囲気よさそう」
 「映えそうだよね」

 肯定的な意見が多く、他にいい案もでないので、宮崎さんのプラネタリウムに決まった。

 「展示のリーダーも、宮崎さんにお願いしていい?」
 「え? 私が……?」
 「作ったことある人が指示出してくれると助かるんだけどな」
 「え……でも……」
 「お願いします!」
 「……あ、はい」

 青山に両手を合わせられて、渋々リーダーを引き受けてしまった宮崎さん。とても不安そうに目を伏せてしまった。クラスをまとめるようなタイプじゃなさそうだけど、大丈夫だろうか。