特別の、その先

 「え、高槻? なんで……」
 「もしかして、浅見も休憩?」

 短髪できりっとした二重の切れ長の目、鼻筋が通っていて形のいい薄い唇をしている。身長も高くて小顔。性格はよく知らないけど、友達は多そうだ。

 (そんな陽キャがなんでこんなところに……)

 高槻は俺を一瞥してから、壁を背にして座り込んだ。せまい踊り場が、高槻の長い足のせいで余計に窮屈に感じる。
 そのまま何事もなかったみたいに、手に持っている小説を開いて読み始めた。

 (ここ立ち入り禁止なんだけど……っつか、俺がここにいることなんも思わないのかよ)

 俺がいることを特に気にする様子もなく、静かにページをめくっている。それが逆に、落ち着かない。

 「ごめん、邪魔したな」

 俺は少し居心地が悪くなり、その場を離れて階段を下りる。

 「浅見!」

 また名前を呼ばれて顔を上げる。上から高槻が身を乗り出していた。

 「バカか! 落ちるぞ!」

 高槻は気にせずへらっと笑う。

 「邪魔じゃないから、いつでもどうぞ。べつに俺の場所でもないしな」

 そう言って軽く手を振り、身体を引っ込めた。

 (なんだ、あいつ……)