特別の、その先

 翌日ーー学校に行ってすぐに高槻にスマホを返すと、高槻もスマホを返してくれた。やっと、自分のスマホが手元に戻ってきて安心した。通知を確認しようとしたら、高槻が話しかけてきた。

 「浅見のスマホ、通知やばかったんだけど、いつもあんな感じ?」
 「そうだけど……ごめん、うるさかった?」
 「や、べつに俺は大丈夫だったけど、やっぱスマホないと落ち着かなかった?」
 「……まぁ、うん。っつか、高槻のスマホ通知なさすぎて逆に心配なんだけど」
 「え、だって通知うるさくない? 俺は鳴らない設定にしてる」
 「やっぱうるさかったんじゃん。ごめん……」

 俺のせいで迷惑をかけてしまったことを謝ると、高槻はなにかを思いついたようにハッとした。

 「じゃあさ、帰りにコンビニでアイスおごってよ」
 「うん、べつにいいけど」
 「約束ね」

 そうこうしてたら担任がきて、俺たちは自分の席に戻った。

 学校帰り、じりじりと太陽が容赦なく照り付ける中、汗を拭いながら近くのコンビニに立ち寄った(田辺は先に帰ってしまった)。約束通り、俺は2個入りのアイスを買って半分こした。イートインスペースでアイスを食べて生き返った俺たち。俺がスマホをいじっている横で、さっきアイスと一緒に買ったノートをおもむろに広げる高槻。そこにさらさらと何かを書き込んでいる。

 「なに書いてんの?」
 「あとで教える」

 そして帰り際にそのノートを渡してきた。なんの変哲もない、普通の罫線入りノート。

 「そこに浅見へのメッセージをしたためたから、帰ったら読んで」
 「ん?」

 その場でノートを開こうとしたら、慌てて止められる。

 「ちょ、今読むな」
 「気になるんですけど」
 「いいから。絶対家に帰ってから読めよ」
 
 そう言われて、渋々ノートをカバンにしまった。
 別れ際、夏休みにいっぱい遊ぼうと約束をして、高槻は俺の姿が見えなくなるまでずっと手を振っていた。