今日は期末テスト最終日、あと一週間もすれば夏休みに突入する。相変わらず蝉の声はうるさいけどクラスメイトはみんな浮足立っていて、今日のテストのことより遊びに行く計画を立てている。
「なぁ、今日さ、テスト終わったらラーメン食いにいこ!」
いつも気だるげな田辺もテストが終わる日はテンションが高い。俺も、もちろんテストからやっと解放されるかと思うと、ついついうきうきしてしまう。田辺からの誘いを断る理由なんかない。
「いつもの、駅前のとこでいい?」
「いや~新規開拓したい気持ちもある」
「わかる。たまには違うとこ行く?」
「あ、そういえば高槻は?」
噂をすれば、いつものように高槻が俺の席までやってきた。
「浅見ー! みてみてー!」
「え、それーー」
「へへっ、昨日みつけて買っちゃった!」
高槻の手には、スマホが握られている。シンプルなブラック一色で、くびれがあるマッドな質感のスマホケース。俺と一緒のものだ。
「浅見とおそろにしたくて、って、だめだった?」
「いや、だめじゃないけど……」
自分のスマホを出して見比べてみる。
(うん。当たり前だけど、全く同じ)
「おまえら、ほんと仲いいね~」
スマホをいじりながら俺たちの様子を見ていた田辺が呆れたように言った。
「でもさ、これーー」
話している途中で、ガラッと戸が開いて担任が入ってきた。俺は慌てて机の上のスマホをつかんで高槻に押しつける。高槻はそれを持って席に戻った。
1時間目は現国、2時間目は化学。テストが終了し、担任からの連絡が終わるや否や、俺と田辺はカバンを手に勢いよく席を立つ。高槻の方をみると、まだ自分の席にいた。近くに宮崎さんもいる。スマホをかざしているので、どうやら連絡先を交換しているらしい。
「なんか時間かかりそうだし、先にいく?」
「え、置いてったら拗ねるんじゃない?」
「連絡しとけば大丈夫だろ」
どうやら田辺は早急にラーメンが食べたいらしい。田辺と連れだって教室を出る。ちらと振り返ると、二人とも楽しそうに会話をしていた。宮崎さんの間延びした高い声が、やけに耳に響く。
田辺と二人で雑談しながら昇降口までいくと、後ろから聞きなれた声がした。
「浅見ー! 置いてくなんてひどいじゃん!!」
ぶんぶん手を振りながら、全速力でこちらに駆けてくる。
(犬かよ)
その様子がおかしくて笑っていたら、もう高槻が目の前にきていて、俺の顔をのぞきこんできた。
「大丈夫?」
そっと手が伸びて、親指の腹で目元をぬぐわれる。不意に距離を詰められて、一瞬、心臓が跳ねた。触れられたところに、じんわりと熱が残る。
「え……」
「クマできてるし、なんか顔色悪い」
「あ、テスト勉強してて、あんま寝てない」
心配そうな高槻の顔にじっと見つめられて、いたたまれなくて視線を下げる。
「ラーメンやめとく?」
田辺が、少し残念そうに俺の様子をうかがっている。
「いや、いく。せっかくテスト終わったし、お腹もすいてるし」
田辺はうれしそうだけど、高槻はずっと心配そうにしている。
「しんどくなったらすぐ言って」
「うん、わかった。ありがとう」
ぽんぽんと頭を撫でられた。
(なんか時々お兄さんみたいになるんだよな)
「出た、過保護。彼氏かよ」
田辺が呆れたように苦笑する。
(か、彼氏……さっきのはお兄さんじゃなくて彼氏なのか)
ちらと高槻の方を見ると、いつもの明るい表情に戻っていた。田辺の頭をくしゃくしゃに撫でまわしている。
(あ、よかった。楽しそう)
「浅見、いこ」
そして、優しい笑顔で俺を手招きした。
「なぁ、今日さ、テスト終わったらラーメン食いにいこ!」
いつも気だるげな田辺もテストが終わる日はテンションが高い。俺も、もちろんテストからやっと解放されるかと思うと、ついついうきうきしてしまう。田辺からの誘いを断る理由なんかない。
「いつもの、駅前のとこでいい?」
「いや~新規開拓したい気持ちもある」
「わかる。たまには違うとこ行く?」
「あ、そういえば高槻は?」
噂をすれば、いつものように高槻が俺の席までやってきた。
「浅見ー! みてみてー!」
「え、それーー」
「へへっ、昨日みつけて買っちゃった!」
高槻の手には、スマホが握られている。シンプルなブラック一色で、くびれがあるマッドな質感のスマホケース。俺と一緒のものだ。
「浅見とおそろにしたくて、って、だめだった?」
「いや、だめじゃないけど……」
自分のスマホを出して見比べてみる。
(うん。当たり前だけど、全く同じ)
「おまえら、ほんと仲いいね~」
スマホをいじりながら俺たちの様子を見ていた田辺が呆れたように言った。
「でもさ、これーー」
話している途中で、ガラッと戸が開いて担任が入ってきた。俺は慌てて机の上のスマホをつかんで高槻に押しつける。高槻はそれを持って席に戻った。
1時間目は現国、2時間目は化学。テストが終了し、担任からの連絡が終わるや否や、俺と田辺はカバンを手に勢いよく席を立つ。高槻の方をみると、まだ自分の席にいた。近くに宮崎さんもいる。スマホをかざしているので、どうやら連絡先を交換しているらしい。
「なんか時間かかりそうだし、先にいく?」
「え、置いてったら拗ねるんじゃない?」
「連絡しとけば大丈夫だろ」
どうやら田辺は早急にラーメンが食べたいらしい。田辺と連れだって教室を出る。ちらと振り返ると、二人とも楽しそうに会話をしていた。宮崎さんの間延びした高い声が、やけに耳に響く。
田辺と二人で雑談しながら昇降口までいくと、後ろから聞きなれた声がした。
「浅見ー! 置いてくなんてひどいじゃん!!」
ぶんぶん手を振りながら、全速力でこちらに駆けてくる。
(犬かよ)
その様子がおかしくて笑っていたら、もう高槻が目の前にきていて、俺の顔をのぞきこんできた。
「大丈夫?」
そっと手が伸びて、親指の腹で目元をぬぐわれる。不意に距離を詰められて、一瞬、心臓が跳ねた。触れられたところに、じんわりと熱が残る。
「え……」
「クマできてるし、なんか顔色悪い」
「あ、テスト勉強してて、あんま寝てない」
心配そうな高槻の顔にじっと見つめられて、いたたまれなくて視線を下げる。
「ラーメンやめとく?」
田辺が、少し残念そうに俺の様子をうかがっている。
「いや、いく。せっかくテスト終わったし、お腹もすいてるし」
田辺はうれしそうだけど、高槻はずっと心配そうにしている。
「しんどくなったらすぐ言って」
「うん、わかった。ありがとう」
ぽんぽんと頭を撫でられた。
(なんか時々お兄さんみたいになるんだよな)
「出た、過保護。彼氏かよ」
田辺が呆れたように苦笑する。
(か、彼氏……さっきのはお兄さんじゃなくて彼氏なのか)
ちらと高槻の方を見ると、いつもの明るい表情に戻っていた。田辺の頭をくしゃくしゃに撫でまわしている。
(あ、よかった。楽しそう)
「浅見、いこ」
そして、優しい笑顔で俺を手招きした。



