「昨日さ、10連ガチャでこれ引いた」
「えー! すごいじゃん! 超レアなやつ!」
(またいる)
休み時間、俺がトイレから戻ってくると高槻が俺の席に勝手に座って田辺と盛り上がっていた。俺にはわからないゲームの話をしている。高槻に席を占拠されているので、俺はしかたなく廊下に出ようとしたらーー
「浅見はこれやってないの?」
どこからか手が伸びて腕をつかまれた。
「え?」
ぐいぐい引っ張られて、席まで引き戻される。
「ダウンロードだけして放置してる」
二人が盛り上がっているゲーム。みんながおもしろいって言うからダウンロードしたけど、俺には合わなくてやめてしまった。
「ふ~ん、そっか」
高槻がスマホをポケットにしまおうとすると、田辺がそれを指さした。
「お前それボロボロじゃん」
高槻のスマホケース、たぶん素材がレザーだったのだろうが、ボロボロに剥げて色も落ちていた。
「中学の時から使ってるから、そろそろ買い換えたいんだけど金がなくて」
苦笑しながらスマホをポケットにしまうと、そっと俺の手を取った。
「浅見って、生命線短いよね」
手のひらを広げられてじっと観察されている。
「短いし薄いんだよね」
「やばいじゃん」
「小学生の時、ボールペンで生命線ずっとなぞってた」
「自分で書いてたんかい!」
「だって、死にたくないじゃん。っつか、二人はどうなの?」
高槻と田辺が手のひらを差し出してきた。ちらっと見ると、二人ともやたら濃い。高槻なんか、手首まで続いている。
「えー、なんで? ずるくない?」
「ずるいとかあんの?」
田辺が自分の生命線をみてけらっと笑っている。
「だってさ、みて? 長すぎだろ」
手首まで続いている高槻の生命線を、指でトントンしていたら、また高槻に手を取られた。
「よし! 俺の生命線、浅見にわけてやるから」
「は?」
そう言って、俺の手のひらと高槻の手のひらを合わせ、パワーを送るみたいに唸っている。その様子をみて、田辺がアホがいると笑っている。そして、俺は高槻にされるがまま。
「これで大丈夫」
手が離されて、自分の手のひらを見る。もちろん、生命線が長くなっているはずもなく。
「……まぁ、なんか少し元気になった気がするわ」
適当に言ったのに、高槻はうれしそうに笑う。チャイムが鳴って、高槻は自分の席に戻っていった。
俺はじんじんと熱くなっている手を、落ち着きなく開いたり閉じたりしていた。
「えー! すごいじゃん! 超レアなやつ!」
(またいる)
休み時間、俺がトイレから戻ってくると高槻が俺の席に勝手に座って田辺と盛り上がっていた。俺にはわからないゲームの話をしている。高槻に席を占拠されているので、俺はしかたなく廊下に出ようとしたらーー
「浅見はこれやってないの?」
どこからか手が伸びて腕をつかまれた。
「え?」
ぐいぐい引っ張られて、席まで引き戻される。
「ダウンロードだけして放置してる」
二人が盛り上がっているゲーム。みんながおもしろいって言うからダウンロードしたけど、俺には合わなくてやめてしまった。
「ふ~ん、そっか」
高槻がスマホをポケットにしまおうとすると、田辺がそれを指さした。
「お前それボロボロじゃん」
高槻のスマホケース、たぶん素材がレザーだったのだろうが、ボロボロに剥げて色も落ちていた。
「中学の時から使ってるから、そろそろ買い換えたいんだけど金がなくて」
苦笑しながらスマホをポケットにしまうと、そっと俺の手を取った。
「浅見って、生命線短いよね」
手のひらを広げられてじっと観察されている。
「短いし薄いんだよね」
「やばいじゃん」
「小学生の時、ボールペンで生命線ずっとなぞってた」
「自分で書いてたんかい!」
「だって、死にたくないじゃん。っつか、二人はどうなの?」
高槻と田辺が手のひらを差し出してきた。ちらっと見ると、二人ともやたら濃い。高槻なんか、手首まで続いている。
「えー、なんで? ずるくない?」
「ずるいとかあんの?」
田辺が自分の生命線をみてけらっと笑っている。
「だってさ、みて? 長すぎだろ」
手首まで続いている高槻の生命線を、指でトントンしていたら、また高槻に手を取られた。
「よし! 俺の生命線、浅見にわけてやるから」
「は?」
そう言って、俺の手のひらと高槻の手のひらを合わせ、パワーを送るみたいに唸っている。その様子をみて、田辺がアホがいると笑っている。そして、俺は高槻にされるがまま。
「これで大丈夫」
手が離されて、自分の手のひらを見る。もちろん、生命線が長くなっているはずもなく。
「……まぁ、なんか少し元気になった気がするわ」
適当に言ったのに、高槻はうれしそうに笑う。チャイムが鳴って、高槻は自分の席に戻っていった。
俺はじんじんと熱くなっている手を、落ち着きなく開いたり閉じたりしていた。



