あの冬に奪われたもの

 ああ、俺はここで……
 ここであいつに奪われたんだ……



 んん…………

「朝か……?」

 相変わらず目覚めの悪い日だ

「ほら早く支度しなさい!」

 お母さんの声が聞こえてくる

 そうか。今日から冬休みの間、おばあちゃんの家に行くんだっけな

「今から支度する~」



 車に乗り込み
 
 揺られながら外の景色を眺める
 
 いつぶりだろうか


 色々事情が重なり行く事が出来てなかったが

 今年久しぶりに行くことになった

 高三に指定校推薦で大学が決まり

 久しぶりにゆっくり出来る


「あぁ……眠た……」

 無意識の間に瞼を閉じた





「……っと……ちょっと……ちょっとってば!」

「んん?」

「ほら! ついたわよ!」

 おお……辺り一面雪景色……

 それで何もない


「ただいまー」

「おぉ、おかえり、久しぶりだねぇ」

「久しぶりおばあちゃん」

 よかった、まだまだ元気そうだ

「ほら、冷斗が好きなまんじゅうだよ。おなか減ってるだろう?」

「ありがとうおばあちゃん」

 常におなかが減ってると思ってるのはみんな共通なのかな


「鍋の具材足りるかしら……」

「あら、困ったねぇ」

「俺買ってこようか?」

「遠いのに行けるのかい?

「俺もう18だよ? 大丈夫だって」

「なら頼める?」

「うん」

「気を付けるんだよ」

「わかった~」



 久しぶりにこの雪が積もった道を歩いてる気がする

 小さい頃はここに住んでたんだよな~

 もう昔の記憶だからあんまり覚えてないんだけどね

「あれ? 冷斗?」

 誰だ?

「やっぱり冷斗だ!」

 振り向いた先にいたのは


「……誰?」