これが運命というなら、どうしてわたしたち二人なのだろう。どうして、やっと好きになれた人が龍介さんなのだろう。神様が与える試練は、いつだって苦しい。わたしはまた大切な人を失ってしまうのだろうか。
失いたくない。傍にいたい。そう思えるのに。
「綾乃、友達って男でしょ? 彼氏?」
普通の会話で聞いているように見せかけて、目が嘘つくなよと言っているのは絶対に気のせいではない。
「どうして?」
「違う?」
にっこり笑う優くん。やっぱり、優くんは龍介さんとタイプが全然違う。龍介さんは古風で優しくて穏やかな人。真っ直ぐで純粋だから、彼に嘘はつきたくないと思う。
優くんは鋭くて駆け引きも上手いうえに、嘘をつかれてもきっと全て見抜いてしまう。
「……元、彼氏」
「龍介さんってさピュアな人だけど鈍感じゃないから、綾乃が男と来るはずだったって気付いていると思う」
「……うん」
「でも、龍介さんの性格上、綾乃を問い詰めるとかしないだろうし。気になってても全てを受け止めようとする人だから」
確かに、龍介さんはそういう人。心が広すぎて、神様か仏様じゃないかと思うほど。
「その元彼ってさ……」
「ん?」
「どんな人? 龍介さんよりも格好いい? いい男なの? もう復縁とかしないよね? 綾乃の気持ちはさ——」
質問が次から次に投げかけられる。先ほどまでのやり手っぽい顔はどこかにいき、今は龍介さんの前にいる時のような弟の顔をしている。答えを聞きたいのか、聞きたくないのか、わたしに話す暇を与えてくれない。
「もしその人がさ——」
「あの、優くん」
「うん?」
「龍介さんのこと、大好きね」
「あ……ごめん」
「ううん」
「……俺、Legacy大好きでさ、龍介さんに本当に憧れてオーディション受けたぐらいなんだよね。この世界に入って、仕事のことも人として大切なことも、龍介さんが教えてくれたんだ」
龍介さんのどんなところが格好いいのか、どれだけ素敵な人なのか、本当に嬉しそうに話す姿が微笑ましい。歌だけを尊敬しているわけじゃない。龍介さんの考え方を人として尊敬しているのだと、彼は熱っぽく語る。
「そうだ、綾乃、テレビ見ないんだって?」
「お家にテレビ置いてないから」
「マジ? これからは見てよ。俺ら音楽番組出るし。そうだ、年末にライブあるからおいでよ。龍介さんも喜ぶよ」
「……ライブ」
「興味なさそうだな」
「そんなこと、ないよ」
龍介さんがLegacyのRYUだと知らなければ、わたしは喜んで行くと即答していたと思う。でも、Legacyだと知った今、ライブに行きたいとは正直思えない。
龍介さんが遠い存在なのだと実感しに行くようなもの。どんなに手を伸ばしても、どんなに欲しいと願っても、彼にその手が届くことはないのかもしれないと思うと、目の前が真っ黒に塗りつぶされていくみたいだ。
失いたくない。傍にいたい。そう思えるのに。
「綾乃、友達って男でしょ? 彼氏?」
普通の会話で聞いているように見せかけて、目が嘘つくなよと言っているのは絶対に気のせいではない。
「どうして?」
「違う?」
にっこり笑う優くん。やっぱり、優くんは龍介さんとタイプが全然違う。龍介さんは古風で優しくて穏やかな人。真っ直ぐで純粋だから、彼に嘘はつきたくないと思う。
優くんは鋭くて駆け引きも上手いうえに、嘘をつかれてもきっと全て見抜いてしまう。
「……元、彼氏」
「龍介さんってさピュアな人だけど鈍感じゃないから、綾乃が男と来るはずだったって気付いていると思う」
「……うん」
「でも、龍介さんの性格上、綾乃を問い詰めるとかしないだろうし。気になってても全てを受け止めようとする人だから」
確かに、龍介さんはそういう人。心が広すぎて、神様か仏様じゃないかと思うほど。
「その元彼ってさ……」
「ん?」
「どんな人? 龍介さんよりも格好いい? いい男なの? もう復縁とかしないよね? 綾乃の気持ちはさ——」
質問が次から次に投げかけられる。先ほどまでのやり手っぽい顔はどこかにいき、今は龍介さんの前にいる時のような弟の顔をしている。答えを聞きたいのか、聞きたくないのか、わたしに話す暇を与えてくれない。
「もしその人がさ——」
「あの、優くん」
「うん?」
「龍介さんのこと、大好きね」
「あ……ごめん」
「ううん」
「……俺、Legacy大好きでさ、龍介さんに本当に憧れてオーディション受けたぐらいなんだよね。この世界に入って、仕事のことも人として大切なことも、龍介さんが教えてくれたんだ」
龍介さんのどんなところが格好いいのか、どれだけ素敵な人なのか、本当に嬉しそうに話す姿が微笑ましい。歌だけを尊敬しているわけじゃない。龍介さんの考え方を人として尊敬しているのだと、彼は熱っぽく語る。
「そうだ、綾乃、テレビ見ないんだって?」
「お家にテレビ置いてないから」
「マジ? これからは見てよ。俺ら音楽番組出るし。そうだ、年末にライブあるからおいでよ。龍介さんも喜ぶよ」
「……ライブ」
「興味なさそうだな」
「そんなこと、ないよ」
龍介さんがLegacyのRYUだと知らなければ、わたしは喜んで行くと即答していたと思う。でも、Legacyだと知った今、ライブに行きたいとは正直思えない。
龍介さんが遠い存在なのだと実感しに行くようなもの。どんなに手を伸ばしても、どんなに欲しいと願っても、彼にその手が届くことはないのかもしれないと思うと、目の前が真っ黒に塗りつぶされていくみたいだ。


