シンデレラ・スキャンダル

◇◇◇

「……の……やの。起きないな。綾乃?」

 遠くで聞こえていた声がはっきりと聞こえてきて、その声に導かれるように、ゆっくりと目を開けた。目の前には、夢の中にも現れていた人がいて、笑っている。

 龍介さんと一緒に朝のトレーニングをした後に食事をして、夜と同じように再び龍介さんの温もりに包まれる。そんな時間を過ごしたからか、わたしはぐっすりと眠りに落ちていた。

「綾乃、起きた? ごめんね」

 彼の方に腕を伸ばせば、ベッドに腰を下ろしたままの状態でわたしに覆いかぶさるようにして抱き締めてくれる。彼の短いキスを額や頬に受けながら、再びうとうとしてしまう。

「綾乃? 起きられそう?」

「……ん」

「みんなが来たから紹介するよ」

 ——みんなが、きた?

 彼の言葉に一気に脳が覚醒して、目を見開いた。

「い、今? 今、来てるんですか?」

「うん。仕事が終わったらしくてさ。連絡しないで突然来るから俺も驚いた。誰もネット繋いでなかったみたいでさ、連絡できなかったとか言って」

「ど、どう……あ、どれくらい」

「飲み始めて、一時間経ったくらい」

 一時間という言葉に脳がフル回転するどころか、一気に白くなる。

(来た時に起こしてくれたら良かったのに!)

「わたし、寝起き……え、あ、どうしよ」

「大丈夫、大丈夫。可愛いから」

「可愛くないですよ! スッピンですよ」

「俺はスッピンの方が好きだよ」

「龍介さんの好みは本当にどうでもよくて」

「ひどい……」

 わたしの慌てぶりを見て、いつものように龍介さんが握った拳を口元にあてて笑う。

 わたしは彼のシャツを着たままで、シャワーの後だったからメイクもしていなければ、髪も整えていない。むしろまだベッドの上。絶対にしっかりとお迎えしようと思っていたのに。

 彼の仕事仲間が来ているのに、二階で寝てましたなんてどれだけ図太い女だろう。クスクス笑っている人を部屋から追い出して、手早くメイクと髪を整えると、急いでリビングに向かった。

 四人の男性がテラスの椅子に座って、グラス片手に談笑している。わたしに気付いた龍介さんがテラスに繋がる窓を開けて迎えてくれる。テーブルに座っている男性たちの顔が一斉にこちらを向き、そして全員が立ち上がる。

 その動きと体の大きさに驚いて、思わず俯いてしまった。一気に自分の体の中心に緊張が走ったことがわかる。