リサがわたしたちの腕から抜け出して、弾けるようにテラスへと走っていく。白いレースのワンピースが夕陽に透けて、小さな天使が舞っているみたい。龍介さんはわたしのことを後ろから抱き締めたまま、耳元に顔を寄せ、わたしの頬に優しく口付ける。
「ん……」
吐息がくすぐったくて、わたしは身をすくめて笑った。
「リサは本当に無邪気で可愛いね」と、わたしは独り言のように呟いた。
「俺も子供好きだけど、綾乃も相当好きだよね」
龍介さんの声は、夕暮れの静かな空気に溶け込むように優しく響く。
「どうして、わかるんですか?」
わたしは彼の胸に寄りかかりながら尋ねた。彼の心臓の鼓動が、わたしの背中に伝わってくる。穏やかで力強い、安心できるリズム。
「顔が全然違うよ。リサに向ける顔が、すごく優しいよ」
「そうかな……でも、本当に可愛いです。リサを見ていると、心の中の棘が全部取れてしまうみたい。無条件で、ただただ愛おしい。本当に」
テラスで楽しそうに駆け回り、小さな声で歌を口ずさむリサを見ていると、自然と口元が緩む。わたしの背中には、龍介さんの温もり。強くて優しい彼の腕がわたしを包んでいる。
わたしを抱き締める彼の手にそっと自分の手を重ねた。彼の手の甲に触れる指先に、彼の熱がじんわりと伝わってくる。
(ああ、やっぱり……)
「こういうの、幸せだよね」
わたしより先に、龍介さんが穏やかに呟いた。耳元で囁かれたその言葉が、胸の奥にじんわりと染み渡る。彼の方に振り向いて頷けば、わたしと同じように微笑む彼の唇が今度はわたしの唇に優しく触れる。
「いつか……」
「ん?」
「……ううん、なんでもない」
彼は言いかけて、わたしの髪にキスを落とした。言わなくても、分かってしまった気がする。彼が見ている「いつか」の景色に、わたしもいたい。でも、それはあまりにも眩しくて、今はまだ、直視することができなかった。
夕陽のオレンジ、波の音、リサの笑い声、そして背中から伝わる龍介さんの体温。 すべてが完璧で、怖いくらい。このまま時間が止まってしまえばいい。こんなにも温かい時間があるなんて知らなかった。
誰かと過ごす時間を大切に思うことなんて、もう二度とない。そう思ったのに、この時間があまりにも尊い。失いたくない。龍介さんの笑顔を。この温もりを。
わたしは言葉の代わりに、彼の腕に自分の腕を重ね、ぎゅっと力を込めた。
「ん……」
吐息がくすぐったくて、わたしは身をすくめて笑った。
「リサは本当に無邪気で可愛いね」と、わたしは独り言のように呟いた。
「俺も子供好きだけど、綾乃も相当好きだよね」
龍介さんの声は、夕暮れの静かな空気に溶け込むように優しく響く。
「どうして、わかるんですか?」
わたしは彼の胸に寄りかかりながら尋ねた。彼の心臓の鼓動が、わたしの背中に伝わってくる。穏やかで力強い、安心できるリズム。
「顔が全然違うよ。リサに向ける顔が、すごく優しいよ」
「そうかな……でも、本当に可愛いです。リサを見ていると、心の中の棘が全部取れてしまうみたい。無条件で、ただただ愛おしい。本当に」
テラスで楽しそうに駆け回り、小さな声で歌を口ずさむリサを見ていると、自然と口元が緩む。わたしの背中には、龍介さんの温もり。強くて優しい彼の腕がわたしを包んでいる。
わたしを抱き締める彼の手にそっと自分の手を重ねた。彼の手の甲に触れる指先に、彼の熱がじんわりと伝わってくる。
(ああ、やっぱり……)
「こういうの、幸せだよね」
わたしより先に、龍介さんが穏やかに呟いた。耳元で囁かれたその言葉が、胸の奥にじんわりと染み渡る。彼の方に振り向いて頷けば、わたしと同じように微笑む彼の唇が今度はわたしの唇に優しく触れる。
「いつか……」
「ん?」
「……ううん、なんでもない」
彼は言いかけて、わたしの髪にキスを落とした。言わなくても、分かってしまった気がする。彼が見ている「いつか」の景色に、わたしもいたい。でも、それはあまりにも眩しくて、今はまだ、直視することができなかった。
夕陽のオレンジ、波の音、リサの笑い声、そして背中から伝わる龍介さんの体温。 すべてが完璧で、怖いくらい。このまま時間が止まってしまえばいい。こんなにも温かい時間があるなんて知らなかった。
誰かと過ごす時間を大切に思うことなんて、もう二度とない。そう思ったのに、この時間があまりにも尊い。失いたくない。龍介さんの笑顔を。この温もりを。
わたしは言葉の代わりに、彼の腕に自分の腕を重ね、ぎゅっと力を込めた。


