シンデレラ・スキャンダル

 目の前のリサは、わたしのたった一言の答えを聞いて、とても満足そうに、嬉しそうに笑う。

「あの、ママには内緒にしてね」

 わたしは慌てて、人差し指を口元に立ててリサにお願いする。わたしのお願いに頷かずに笑みを深めるリサは、間違いなく忍さんの娘。

「もう! リサ!」

 目の前のリサをぎゅっと抱き締めると、その長い髪から甘いシャンプーの甘い香りがふわりと鼻腔をくすぐった。彼女は、その可愛らしい顔に悪戯な笑みをいっぱいに浮かべて、抱き締められたままこちらを見上げてくる。

「アヤノ、真っ赤よ」

 からかうように口にする。

 ちょうどその時、外から戻ってきたらしい龍介さんが、リビングのドアを開けた。二人でじゃれあっているわたしたちを見て、彼は優しく、心から嬉しそうに目を細めて笑う。

 「ただいま」と、少し弾んだ声で言いながら、彼は迷うことなくわたしの隣に座ると、ソファの背もたれに腕を回した。そして、「なに話してたの?」と言って、わたしとリサをまとめて彼の逞しい腕の中に優しく包み込む。二人の頭が彼の肩に寄り添い、龍介さんの体温と心地よい石鹸の香りに包まれる。

「リュウには内緒よ。女の子の秘密なんだから」

 リサは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、龍介さんの胸元に顔を埋めるようにしてそう言った。彼は、わたしたちを抱き締める腕にさらに力を込める。

「ええ? 教えてよ」

 そう言いながら、彼はまた優しく笑う。わたしは思わず、その胸元に顔を押し付けて、彼にしがみついた。リサもまた、心底楽しそうに「だめ!」と笑いながら、龍介さんの首に腕を回すのだった。