これが日本ならわたしたちは話をすることも、名前を知ることもなかったかもしれない。きっと異国の地がそうさせる。これが特別なものだと感じさせる。頭の片隅でこれは幻だと誰かが言うのに、また誰かがこれは特別だと彼を知りたいと訴える。
「どこら辺に泊まるの? 帰れる? 送ろうか? って言ってもレンタカーまだ借りてないからタクシーだけど」
「たぶん大丈夫です。良くわかってはいないんですけど、荷物をおいてきて」
「なんていうホテル?」
「えっと……あ、住所書いてある地図が」
肩にかけた小さなバッグの中から小さく折りたたまれた紙を取り出して、彼に見せる。
「ん……あれ。これ、バケーションレンタルじゃない? 貸し別荘っていうのかな」
「ああ、そうらしいです。レンタルハウスだって」
「やっぱり? 俺もそうなんだ。俺が借りるところとすごく近いかも。あそこら辺にホテルはないから」
「そうなんですか」
「うん……綾乃ちゃんさ、オーナーってどんな人だった?」
「オーナー?」
「そう。女性?」
「いえ、男性でしたけど」
「……そっか」
龍介さんが顎に手を当てて、何かを考えているように視線を彷徨わせる。そして、わたしを見てまた視線を外す。その視線に応えるように、頭を傾けてみる。
「いや、あのさ。一人なんだよね?」
「そうですね」
「海外、初めてなんだよね?」
「そうです」
「……大丈夫?」
「え?」
「慣れてるならまだいいとは思うけど、綾乃ちゃんみたいな女の子が一人でこういうところに泊まるのは、やっぱり……」
「危ないですかね」
そう言いながら、いつの間にか俯いていた。
「どこら辺に泊まるの? 帰れる? 送ろうか? って言ってもレンタカーまだ借りてないからタクシーだけど」
「たぶん大丈夫です。良くわかってはいないんですけど、荷物をおいてきて」
「なんていうホテル?」
「えっと……あ、住所書いてある地図が」
肩にかけた小さなバッグの中から小さく折りたたまれた紙を取り出して、彼に見せる。
「ん……あれ。これ、バケーションレンタルじゃない? 貸し別荘っていうのかな」
「ああ、そうらしいです。レンタルハウスだって」
「やっぱり? 俺もそうなんだ。俺が借りるところとすごく近いかも。あそこら辺にホテルはないから」
「そうなんですか」
「うん……綾乃ちゃんさ、オーナーってどんな人だった?」
「オーナー?」
「そう。女性?」
「いえ、男性でしたけど」
「……そっか」
龍介さんが顎に手を当てて、何かを考えているように視線を彷徨わせる。そして、わたしを見てまた視線を外す。その視線に応えるように、頭を傾けてみる。
「いや、あのさ。一人なんだよね?」
「そうですね」
「海外、初めてなんだよね?」
「そうです」
「……大丈夫?」
「え?」
「慣れてるならまだいいとは思うけど、綾乃ちゃんみたいな女の子が一人でこういうところに泊まるのは、やっぱり……」
「危ないですかね」
そう言いながら、いつの間にか俯いていた。


