◇
離陸の時間になり、飛行機が動き出した。何度経験しても慣れることのない圧と、機体が少し高度を下げた瞬間にくる内臓が浮く感覚。
絶叫系が好きという人がいるなんて、本当に信じられない。それ系が大好きな栞ちゃんと一緒に遊園地に行った時は、本当に悲惨な目にあった。こんなものの、なにが面白いのだろうか。
「うう……」
目を閉じて、両脇の肘掛けを必死に掴み、小さく呻きながら恐怖に耐える。
しばらくすると、シートベルト着用のサインがカチリという小さな音を立てて消え、わたしは強張っていた肩の力を抜き、小さく息を吐いた。長時間のフライトに備えて、シートにもたれた時——
「松嶋様、本日はご利用いただき、誠にありがとうございます」
突然、わたしの名前を呼ばれたことに驚いて顔を上げる。声のした方を見ると、一人のキャビンアテンダントの女性がまるで絵画のように完璧な、それでいて親しみを感じさせる微笑みを浮かべ、優雅な所作でわたしの座席の横に膝をついていた。
その整った顔立ちには、プロフェッショナルな美意識を感じさせる控えめながらも洗練されたメイクが施されている。
「こ、こんにちは……」
急なことで、わたしは気の利いた言葉も出てこず、ただ挨拶を返すので精一杯。わたしと同じように、隣の席に座る彼もまた、丁寧に「長谷川様」と名前を呼ばれ、サービスの提供を受けている。
すぐに、グラスに注がれた黄金色のシャンパンが運ばれてきた。細長いフルートグラスを手に取り、そっと口に含むと、冷たい炭酸が舌の上で心地良く、繊細に弾ける。
離陸の時間になり、飛行機が動き出した。何度経験しても慣れることのない圧と、機体が少し高度を下げた瞬間にくる内臓が浮く感覚。
絶叫系が好きという人がいるなんて、本当に信じられない。それ系が大好きな栞ちゃんと一緒に遊園地に行った時は、本当に悲惨な目にあった。こんなものの、なにが面白いのだろうか。
「うう……」
目を閉じて、両脇の肘掛けを必死に掴み、小さく呻きながら恐怖に耐える。
しばらくすると、シートベルト着用のサインがカチリという小さな音を立てて消え、わたしは強張っていた肩の力を抜き、小さく息を吐いた。長時間のフライトに備えて、シートにもたれた時——
「松嶋様、本日はご利用いただき、誠にありがとうございます」
突然、わたしの名前を呼ばれたことに驚いて顔を上げる。声のした方を見ると、一人のキャビンアテンダントの女性がまるで絵画のように完璧な、それでいて親しみを感じさせる微笑みを浮かべ、優雅な所作でわたしの座席の横に膝をついていた。
その整った顔立ちには、プロフェッショナルな美意識を感じさせる控えめながらも洗練されたメイクが施されている。
「こ、こんにちは……」
急なことで、わたしは気の利いた言葉も出てこず、ただ挨拶を返すので精一杯。わたしと同じように、隣の席に座る彼もまた、丁寧に「長谷川様」と名前を呼ばれ、サービスの提供を受けている。
すぐに、グラスに注がれた黄金色のシャンパンが運ばれてきた。細長いフルートグラスを手に取り、そっと口に含むと、冷たい炭酸が舌の上で心地良く、繊細に弾ける。


